意味
「高を括る(たかをくくる)」とは、相手や物事の力量を見くびり、大したことはないと侮るという意味です。
自分の予測の範囲内に収まるものだと決めつけ、安易に構える様子を指します。
- 高(たか):数量、程度、価値。
- 括る(くくる):ひもで縛る、一つにまとめる意味の語で、「高を括る」の形では程度を予測する意味になる。
多くの場合、その予測が外れて失敗を招くという否定的な文脈で使われます。
語源・由来
「高を括る」の「高」は、石高(こくだか)や売上高の「高」と同じく、数量や程度を表す語です。
「高を括る」には、物事の程度をこのくらいだろうと安易に見積もるという意味と、高が知れていると見くびるという意味があります。
見積もる意味での同じ言い方に、「高を締める」「高を積もる」があります。
使い方・例文
自分の判断ミスを反省する場面や、他者の甘い見通しを注意する場面で使われます。
「慣れ」が生じている時にこそ、使われることが多い言葉です。
例文
- 相手は格下のチームだと高を括っていたせいで、思わぬ苦戦を強いられた。
- 自分の体力ならまだ大丈夫だと高を括って無理を続け、ついに体調を崩してしまった。
- 小雨だからと高を括って傘を持たずに出かけたら、途中で土砂降りに遭った。
- まだ余裕があると高を括っていたが、予想外のトラブルで間に合わなくなった。
誤用・注意点
「高を括る」は、相手や物事を「大したことはない」と低く見積もるときに使います。
「高く評価する」という意味で使うのは誤りです。
また、「腹を括る(はらをくくる)」という言葉と混同しないよう注意が必要です。
「腹を括る」は「覚悟を決める」という意味であり、心の持ちようが全く異なります。
目上の人に対して「部長は、私にはできないと高を括っていらっしゃるのですね」などと使うのは、相手を批判する大変無礼な言い回しになるため、控えなければなりません。
類義語・関連語
「高を括る」と似た意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。
- 侮る(あなどる):
相手を自分より低いものとして軽蔑する、軽く見る。 - 舐めてかかる(なめてかかる):
相手を自分より弱い、あるいは簡単なものだと思って、不真面目な態度で接すること。 - 甘く見る(あまくみる):
事態の深刻さや相手の力を過小評価すること。
対義語
「高を括る」とは対照的な意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。
- 一目を置く(いちもくをおく):
相手の能力が優れていることを認め、敬意を払うこと。 - 用心する:
物事を甘く見ず、細心の注意を払って備えること。 - 重んじる:
物事の価値を高く評価し、大切に扱うこと。
英語表現
「高を括る」を英語で表現する場合、以下の表現が一般的です。
Take someone/something lightly
直訳は「誰か(何か)を軽くあしらう」で、深刻に受け止めず、たいしたことはないと判断するニュアンスを持つ、「高を括る」に最も近い慣用表現。
You should not take your opponent too lightly.
(相手は大したことがないと高を括らないほうがいい。)
Underestimate
直訳は「過小評価する」で、実力や難易度を実際よりも低く見積もることを指す客観的かつ明確な表現。
I underestimated the time it would take to finish this work.
(この仕事はすぐ終わるだろうと高を括っていた。)
芥川『羅生門』の「高を括る」は軽く見積もる意味
芥川龍之介の『羅生門』(1915年)で、一晩寝られる場所を探す下人は、門の上の楼へ梯子を上っていきます。
原文には「下人は、始めから、この上にいる者は、死人ばかりだと高を括っていた」とあります。
ところが梯子を二、三段上ると、上で誰かが火をともし、その火をあちこち動かしているのが分かります。
そこにいたのは、死人の髪の毛を抜いている老婆でした。
ここでの「高を括る」は、人を見下すのではなく、「上には死人しかいないだろう」と軽く見積もる使い方です。









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