失敗が発覚した瞬間、あるいは逃げ場のない状況に追い込まれた瞬間。
そんな絶望的な幕切れの情景を包み込んで伝えるのが、
「一巻の終わり」(いっかんのおわり)です。
意味
「一巻の終わり」とは、物事があっけなく結末を迎えること、あるいはすべてがだめになってしまうことを意味します。
語源・由来
「一巻の終わり」の「巻」とは、昔の活動写真(映画)のフィルムのことです。
初期の映画はフィルム一巻を映し終えるたびに次のリールに交換する必要があり、その切れ目のたびに活動弁士が「これにて一巻の終わり」と締めくくっていました。
そこから転じて、現実の物事があっけなく結末を迎えてしまうことや、失敗してすべてがだめになってしまうことを指すようになりました。
使い方・例文
「一巻の終わり」は、取り返しのつかない失敗をした場面や、状況が完全に絶望的になった場面で使われます。
- 隠していたテストの答案用紙が母親に見つかり、これで一巻の終わりだ。
- データ保存を忘れたままパソコンの電源が落ちてしまい、一巻の終わりだ。
- この壁を乗り越えられなければ、私たちの計画は一巻の終わりだ。
類義語・関連語
「一巻の終わり」と似た意味を持つ言葉には以下のようなものがあります。
- 万事休す(ばんじきゅうす):
もはや打つ手がなく、すべてが終わってしまった状態。 - 年貢の納め時(ねんぐのおさめどき):
悪事や隠し事がばれて、ついに諦めなければならない時。 - お陀仏(おだぶつ):
物事が完全にだめになること、または人が死ぬこと。
英語表現
That’s all she wrote.
意味:もうおしまいだ。それ以上どうにもならない状況を表すアメリカ英語の慣用句。
- 例文:
We missed the last train. That’s all she wrote.
終電を逃してしまった。もう一巻の終わりだ。
It’s curtains for ~
直訳:〜にとってのカーテンだ。
意味:〜はもうおしまいだ。劇の最後に幕が下りる様子から派生した口語表現。
- 例文:
If the boss finds out, it’s curtains for us.
もし上司にばれたら、私たちは一巻の終わりだ。
映画の「活動弁士」が広めた決まり文句
映画がまだ無声だった時代、日本の映画館には「活動弁士」と呼ばれる職業がありました。
上映中にスクリーンの横に立ち、物語の内容や登場人物のセリフを語り聞かせる、日本独自の話芸です。
彼らはフィルムの一巻が終わるたびに、「これにて一巻の終わり」と口上を述べるのが定番でした。
ほぼすべての映画の締めに使われたフレーズとして記録されています。
この決まり文句が観客の間に浸透し、やがて日常語として「もう取り返しがつかない」という意味で使われるようになっていきました。









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