誰に対しても誠実に振る舞い、その生き方そのものが自然と人々の尊敬を集める。
そんな、人格の優れたあり方を表すのが、「徳が高い」(とくがたかい)です。
意味
「徳が高い」とは、多くの善行を積み、人格が優れていて人から尊敬されるさまという意味です。
単に知識や能力が優れているだけでなく、日々の行いや人との接し方に表れる、内面的な立派さを指します。
地位や財産とは異なる、人としての価値を評価する言葉です。
- 徳(とく):人格的に優れた、道にかなった性質
- 高い(たかい):程度が優れていること
語源・由来
「徳」という漢字は、「彳(行く)」「直(まっすぐ)」「心」の組み合わせからなり、まっすぐな心で正しい道を歩むことを表すと考えられています。
この「徳」に、程度の大きさを表す「高い」が組み合わさることで、善い行いを積み重ね、人格的に優れた境地に達した人物を評する言葉として使われるようになりました。
特定の書物や故事に由来するものではなく、「徳」という価値の重みを、高さにたとえて表現した言い回しです。
使い方・例文
「徳が高い」は、人格が優れ、周囲から尊敬されている人物を評する場面で使われます。
- 村の長老は徳が高い人物として、誰からも慕われている。
- 徳が高い指導者の下には、自然と人が集まってくる。
- 彼女は若いながらも徳が高いと評判だ。
類義語・関連語
「徳が高い」と同じように、優れた人格を表す言葉には、以下のようなものがあります。
- 桃李成蹊(とうりせいけい):
徳のある人の周りには、自然と人が集まってくるということ。 - 人格者(じんかくしゃ):
人格が優れ、周囲から尊敬される人物。
対義語
「徳が高い」の反対の意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。
- 不徳(ふとく):
道徳に外れ、人として至らないこと。
英語表現
a person of virtue
人格が優れ、徳の高い人物を表す表現。
He is widely respected as a person of virtue.
(彼は徳が高い人物として、広く尊敬されている。)
徳は、自分で名乗るものではないという考え方
資格や肩書きとは異なり、「徳が高い」という評価は、本人が名乗って得られるものではなく、日々の行いを見た周囲の人々によって、後から与えられるものである。
「桃李成蹊」の故事が、何も語らない木の下に自然と道ができる様子で徳を表現したように、徳の高さは自己申告ではなく、他者の観察と証言によって初めて成立する評価だという点に、この概念の特徴がある。
短期的な成果や発信力が評価されやすい現代においても、時間をかけた行いの積み重ねでしか得られない「徳」という価値尺度が、古くから言葉として残り続けていることは、人が何を信頼の根拠とするかを考えるうえで示唆に富んでいる。









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