羝羊触藩

進むことも退くこともできず、進退窮まって困り果てること。 個別解説
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強引に突き進んだ牡羊が、垣根に角を絡ませて動けなくなる、そんな身動きの取れない苦境を表すのが、「羝羊触藩」(ていようしょくはん)です。

意味

羝羊触藩とは、進むことも退くこともできず、進退窮まって困り果てることという意味です。
血気にはやって強引に事を進めた結果、身動きが取れなくなった状況を戒める言葉です。

  • 羝羊(ていよう):牡(おす)の羊。
  • 触藩(しょくはん):垣根(藩)に突き当たること。

語源・由来

「羝羊触藩」は、中国の古典『易経えききょう』六十四卦のひとつ「大壮たいそう」の上六に見える一節に由来します。
そこには「羝羊、藩に触れ、退くこと能わず、遂ぐること能わず」(牡羊が角を垣根に引っ掛け、退くことも進むこともできない)と記されています。
血気盛んな牡羊が勢いのまま突き進んだ結果、垣根に角を絡ませて動けなくなる様子は、力任せに事を進めることへの戒めとして説かれた、とされています。

使い方・例文

「羝羊触藩」は、自らの強引さが招いた身動きの取れない状況を表す際に使われます。

  • 強気な値下げ交渉を続けた結果、双方が羝羊触藩の状態に陥った。
  • 意地を張って後に引けず、羝羊触藩さながらの窮地に立たされた。
  • 計画の軌道修正もできず、羝羊触藩の状況が長引いている。

類義語・関連語

  • 進退窮まる(しんたいきわまる):
    進むことも退くこともできなくなること。

英語表現

  • between a rock and a hard place
    板挟みで、どちらにも動けない状況。

『易経』大壮卦が説く「勢い」への戒め

「羝羊触藩」が出てくる『易経』の「大壮」は、もともと陽の気が盛んで勢いにあふれた状態を表す卦です。
しかし易経は、勢いが強いことを手放しでは称えません。
力に任せて突き進めば、かえって身動きが取れなくなると説き、勢いのさなかにこそ節度が必要だと戒めています。
強さの絶頂で立ち止まる難しさを、二千年以上前の書物がすでに見抜いていたことになります。

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