大勢の前で自分の落ち度を指摘され、冷や汗をかきながら深々と頭を下げる。
そんなあらたまった恥じ入りを漢語調で伝えるのが、「汗顔の至り」(かんがんのいたり)です。
意味
「汗顔の至り」とは、恥ずかしさのあまり冷や汗をかくほど、深く恥じ入ることという意味です。
日常会話よりも改まった場面で使われる言葉で、謝罪や謙遜の気持ちを丁寧に伝えたいときに用いられます。
- 汗顔(かんがん):恥じて顔に汗をかくこと。
- 至り(いたり):物事がその極みに達すること。
語源・由来
「汗顔の至り」は、特定の書物の一節に由来するものではなく、恥ずかしさで顔に汗がにじむという体の反応を「至り」という言葉で強調した、漢語調の言い回しとして定着したと考えられます。
「至り」は「光栄の至り」「感激の至り」のように、感情がその極みに達した状態を表す言葉としても使われます。
手紙や挨拶の中でへりくだった気持ちを丁寧に示す表現として、古くから重宝されてきました。
使い方・例文
「汗顔の至り」は、自分の失敗や至らなさを謝罪・謙遜する改まった場面で使われます。
- 部下のミスに気づかなかったとは、汗顔の至りです。
- 基本的な誤りをご指摘いただき、汗顔の至りに存じます。
- 恩師の前で言葉に詰まり、汗顔の至りだった。
類義語・関連語
「汗顔の至り」と同じように、深い恥じ入りを表す言葉には、以下のようなものがあります。
- 赤恥をかく(あかはじをかく):
人前で、ごまかしようのないひどい恥をさらすこと。 - 忸怩たる思い(じくじたるおもい):
自分の言動を深く反省し、内心恥じ入る気持ち。
英語表現
to my great embarrassment
「私の大きな恥として」という意味の表現で、自分の失敗を認めて恥じ入る気持ちを丁寧に伝える言い回し。
To my great embarrassment, I forgot the client’s name during the meeting.
(会議中に取引先の名前を忘れてしまい、汗顔の至りだった。)
改まった場でだけ生き残った漢語表現
「汗顔の至り」のように、音読みの二字熟語に「〜の至り」を続ける言い回しは、明治期以降のビジネス文書や書簡でよく使われてきました。
「恐縮の至り」「光栄の至り」なども同じ型で、漢語を用いることで話し言葉より一段あらたまった印象を与えます。
普段の会話では「めちゃくちゃ恥ずかしい」で済む場面でも、謝罪の手紙やスピーチでは漢語調の表現が選ばれやすくなります。
硬い言葉遣いそのものが、相手への敬意や事態の重さを示す記号として機能しているためです。









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