「推しのイベントのためなら、貯金がゼロになっても構わない」
「一生に一度の結婚式、ドレスも料理も最高級ランクにしたい」。
このように、目的のためなら予算の上限を設けず、ありったけのお金を惜しみなく投入することを金に糸目をつけないと言います。豪快で太っ腹な様子を表す、景気の良い言葉です。
「金に糸目をつけない」の意味
金銭を支出する際に制限を設けず、惜しみなく使うこと。
必要なものであれば、値段が高くても躊躇(ちゅうちょ)せずに支払う様子を指します。
「予算オーバー」という概念を捨て去り、湯水のごとく資金を投入する状況を表す慣用句です。
- 金(かね):金銭、資金。
- 糸目(いとめ):凧(たこ)の動きを制御するための糸。転じて、制限や束縛。(※語源で解説)
- つけない:制限しない、コントロールしない。
「金に糸目をつけない」の語源・由来
この言葉の「糸目」は、お正月の遊びなどで知られる「凧揚げ(たこあげ)」に由来します。
凧をコントロールする「糸目」
凧が風を受けてバランスよく空に揚がるよう、凧の表面の数カ所(頭や四隅など)に結びつけ、中心で一本にまとめた調整用の糸のことを「糸目(糸目糸)」と呼びます。
この糸の長さやバランスを調整することで、凧の動きを制御(コントロール)するのです。
コントロールを外す=制限なし
そこから転じて、「糸目をつける」は「出費や行動を抑制・管理する」という意味を持つようになりました。
その否定形である「糸目をつけない」は、
「凧を制御する糸がない状態」=「タガが外れたように、制限なく解放する状態」を意味するようになり、特にお金や投資の使い方が無制限であることを表す慣用句として定着しました。
「金に糸目をつけない」の使い方・例文
主に、趣味、接待、事業投資、特別なイベントなど、「ここぞという場面」で豪快にお金を使う際に使われます。
「気前が良い」というポジティブな意味で使われることもあれば、「後先考えずに浪費している」という呆れを含んだニュアンスで使われることもあります。
例文
- 「彼は趣味のクラシックカー収集には、金に糸目をつけない。」
- 「新規プロジェクトを成功させるため、社長は開発費に金に糸目をつけないと明言した。」
- 「一人娘の結婚式とあって、父親は衣装代に金に糸目をつけず、最高級の着物をあつらえた。」
- 「グルメな彼は、美味しいものを食べるためなら金に糸目をつけない。」
メディアでの使用例
ニュースやドキュメンタリーでは、富裕層の生活ぶりや、国家プロジェクトの規模感を表現する際に用いられます。
「あの実業家は宇宙開発事業に対し、金に糸目をつけず巨額の私財を投じている。」
このように、常識の範囲を超えた投資や支出を強調する際に効果的な表現です。
「金に糸目をつけない」の類義語・関連語
- 湯水のごとく使う(ゆみずのごとくつかう):
湯や水を使い捨てるように、お金を惜しげもなく使いまくること。こちらは「無駄遣い・浪費」のニュアンスが強く含まれます。 - 大盤振る舞い(おおばんぶるまい):
盛大な宴会を開いて、気前よく金品や料理を振る舞うこと。他人に御馳走する際によく使われます。 - 惜しげもなく(おしげもなく):
もったいないという様子を見せず、あっさりと差し出すこと。 - 散財(さんざい):
不必要にお金を使うこと。
「金に糸目をつけない」の対義語
- 爪に火をともす(つめにひをともす):
ろうそく代を惜しんで爪に火をともすほど、極端に倹約すること。ケチな様子のたとえ。 - 財布の紐が固い(さいふのひもがかたい):
金銭の出し入れに慎重で、無駄遣いをしないこと。 - 一文惜しみ(いちもんおしみ):
わずかな出費でも嫌がること。また、そのような人。
「金に糸目をつけない」の英語表現
Spare no expense.
- 直訳:費用を惜しまない。
- 意味:「金に糸目をつけない」「徹底的にやる」
- 解説:ビジネスから日常会話まで幅広く使える定番フレーズです。
- 例文:
The company spared no expense for the anniversary party.
(その会社は記念パーティーのために、金に糸目をつけなかった。)
Money is no object.
- 直訳:お金は対象(問題)ではない。
- 意味:「金額は問題ではない」「いくらかかっても構わない」
- 解説:買い物や依頼をする際、「予算は気にしなくていい(言い値で買う)」と伝える時の決まり文句です。
- 例文:
I want the best computer available. Money is no object.
(手に入る最高級のコンピュータが欲しい。金に糸目はつけない。)
「金に糸目をつけない」に関する豆知識
「糸目」と「糸口」の混同に注意
よく似た言葉に「糸口(いとぐち)」がありますが、意味は全く異なります。
- 糸目(いとめ):凧を制御する糸。転じて、制限や抑制。
- 糸口(いとぐち):巻き取った糸の端(出し始め)。転じて、物事の解決の手がかりやきっかけ。
「解決の糸口をつかむ」とは言いますが、「解決の糸目をつかむ」とは言いません。
逆に「金に糸口をつけない」も誤りです。一文字違いですが、語源のイメージ(凧ひも vs 糸の端)を持つことで使い分けがしやすくなります。
まとめ
金に糸目をつけないとは、凧を制御する糸(糸目)がない状態のように、制限を設けず豪快にお金を使うことを表す慣用句です。
「推し」への愛や、人生の晴れ舞台、ここ一番の勝負所など、私たちが「予算度外視」で何かに情熱を注ぎたい瞬間を鮮やかに切り取った言葉と言えるでしょう。
とはいえ、本当に糸目の切れた凧のように制御不能になって家計が破綻しないよう、心のどこかでバランスを取ることも忘れてはいけません。









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