意味
「苟に日に新たに、日々に新たに、また日に新たなり(まことにひにあらたにひびにあらたにまたひにあらたなり)」とは、今日古い自分を捨てて新しくなれたなら、明日もその次の日も、絶えず自分を新しくし続けようという意味です。
一度きりの努力で終わらせず、日々の積み重ねとして自己改革を続ける姿勢を説いています。
- 苟に(まことに):本当に、いやしくも。
- 日に新たに:その日のうちに自分を新しくすること。
- 日々に新たに:毎日欠かさず新しくすること。
- また日に新たなり:さらに次の日も新しくあり続けること。
語源・由来
この言葉は、中国の古典『大学』に記された一節に由来します。
朱熹が整理した『大学章句』では、経一章に続く伝の第二章(「新民」を釈く章)に置かれています。
殷の名君・湯王は、日々の洗顔や沐浴に使う盤に「苟日新、日日新、又日新」の文字を刻み、身を洗い清めるたびにこの言葉を自らに言い聞かせて戒めとしたと伝えられています。
もとは体を洗い清める行為を指した言葉でしたが、転じて心を日々新たに保つ自己修養の教えとして広まった、という説があります。
使い方・例文
この言葉は、企業経営者の座右の銘や、稽古事の心得として引用されることが多い表現です。
- 経営者は苟に日に新たに、日々に新たに、また日に新たなりを社訓に掲げた。
- 昨日の失敗にとらわれず、苟に日に新たにの気持ちで再挑戦する。
- 師は稽古のたび、日々に新たにという言葉を弟子に説いた。
対義語
この言葉とは対照的な意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。
- 旧態依然(きゅうたいいぜん):
進歩がなく、古い状態や体制がそのまま残っていること。
英語表現
renew yourself every day
「毎日自分を新しくする」という、この言葉の趣旨に近い表現。
He believes in the idea of renewing himself every day.
(彼は日々自分を新たにするという考えを大切にしている。)
商の湯王が己を戒めるために刻んだ、たらいの銘文
「苟に日に新たに、日々に新たに、また日に新たなり」は、儒教の経典『大学』に引かれた言葉で、殷(商)の初代王である湯王が、自らを戒めるために洗面や沐浴に使う道具に刻んだとされる銘文が出典とされています。
日々自分の心身を洗い清めるように、徳もまた一日たりとも怠らず磨き続けよという戒めが込められていました。
『大学』はこの銘文に続けて、『康誥』にある「民を新たにする」、つまり人々を教化して一新させるという言葉や、『詩経』の「周は古い国でありながら、天から与えられた使命はいつも新しい」という句を重ねて引用し、為政者自身が日々自らを新たにしてこそ、人々を導くことができるという考えを展開しています。
一度きりの大きな改革ではなく、日々の小さな積み重ねによって徳を高め続けるという発想が、二千年以上前の中国の統治論の中にすでに息づいていたことになります。










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