きのうの自分に満足してしまえば、そこで成長は止まってしまう。
今日という一日ごとに自分を作り替えていく覚悟を説くのが、「苟に日に新たに、日々に新たに、また日に新たなり」です。
意味
苟に日に新たに、日々に新たに、また日に新たなりとは、今日古い自分を捨てて新しくなれたなら、明日もその次の日も、絶えず自分を新しくし続けようという意味です。
一度きりの努力で終わらせず、日々の積み重ねとして自己改革を続ける姿勢を説いています。
- 苟に(まことに):本当に、いやしくも。
- 日に新たに:その日のうちに自分を新しくすること。
- 日々に新たに:毎日欠かさず新しくすること。
- また日に新たなり:さらに次の日も新しくあり続けること。
語源・由来
この言葉は、中国の古典『大学』第三章に記された一節に由来します。
殷(いん)の名君・湯王(とうおう)は、日々の洗顔や沐浴に使う盤に「苟日新、日日新、又日新」の文字を刻み、身を洗い清めるたびにこの言葉を自らに言い聞かせて戒めとしたと伝えられています。
もとは体を洗い清める行為を指した言葉でしたが、転じて心を日々新たに保つ自己修養の教えとして広まった、という説があります。
使い方・例文
この言葉は、企業経営者の座右の銘や、稽古事の心得として引用されることが多い表現です。
- 経営者は「苟に日に新たに、日々に新たに、また日に新たなり」を社訓に掲げた。
- 昨日の失敗にとらわれず、苟に日に新たにの気持ちで再挑戦する。
- 師は稽古のたび、日々に新たにという言葉を弟子に説いた。
対義語
この言葉とは対照的な意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。
- 旧態依然(きゅうたいいぜん):
進歩がなく、古い状態や体制がそのまま残っていること。
英語表現
この言葉を英語で表現する場合、以下のような表現が使われます。
renew yourself every day
「毎日自分を新しくする」という、この言葉の趣旨に近い表現です。
- 例文:
He believes in the idea of renewing himself every day.
(彼は日々自分を新たにするという考えを大切にしている。)
『大学』の教えと「カイゼン」の思想
『大学』が説くこの一節は、日々の小さな見直しを積み重ねて質を高め続ける、日本のものづくり文化における「改善」の発想と重なる部分があります。
完成を目指して一度きりの大きな変革を行うのではなく、毎日わずかでも手を加え続けるという発想は、洋の東西を問わず長く受け継がれてきました。
古代中国の湯王の戒めは、現代の品質管理や自己啓発の場面でも、しばしば引用され続けています。









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