相手の気を引こうと、意味ありげな視線をそっと送る。
そんな媚びを含んだしぐさを表すのが、「秋波を送る」(しゅうはをおくる)です。
意味
「秋波を送る」とは、相手の関心を引こうとして、色っぽい流し目を送ることという意味です。
もとは異性への色目を指しましたが、現代では相手に取り入ろうとする行為全般を指す表現としても使われます。
語源・由来
「秋波」とは、もともと中国語で秋の澄みきった水面の波を意味する言葉でした。
秋の水のように澄んで美しい目元を、美人の涼しげな瞳にたとえたことから、「秋波」が美しい目もとや流し目そのものを指す言葉として使われるようになりました。
そこに「送る」という動作が加わり、意味ありげな視線を相手に向けて気を引こうとするしぐさを表す慣用句として定着しました。
使い方・例文
「秋波を送る」は、色目を使う場面だけでなく、機嫌を取ろうとする行為全般を指す場面でも使われます。
- パーティー会場で、彼女はさりげなく彼に秋波を送っていた。
- 与党の政策に対し、野党の一部が秋波を送る姿勢を見せた。
- 新規顧客を獲得しようと、各社が消費者に秋波を送っている。
使うときの注意点
「秋波を送る」は、恋愛関係の色目に限らず、政治や商取引の場面で「機嫌を取る」「取り入ろうとする」という意味でも広く使われます。
ただし相手に媚びるような印象を与える表現のため、使う場面や対象を選ぶ必要があります。
類義語・関連語
- 色目を使う(いろめをつかう):
相手の気を引こうとして、意味ありげな視線を送ること。 - 秋波(しゅうは):
澄んだ美しい目もと、または色っぽい流し目。
英語表現
make eyes at someone
相手に色っぽい視線を送る、という意味の一般的な表現。
She kept making eyes at him across the room.
(彼女は部屋の向こうから彼に秋波を送り続けていた。)
give someone the eye
意味ありげな視線を送る、関心があることをほのめかす表現。
He gave her the eye during the meeting.
(彼は会議中、彼女に秋波を送っていた。)
季節の風景から生まれた比喩
「秋波」という言葉が面白いのは、もとは季節の風景を描写する言葉だったという点です。
夏の名残の熱気が去り、澄んだ空気の中で穏やかに立つ秋の水面の波。
その静かで涼しげな美しさが、まず美人の目もとの形容に転用され、次いで「気を引く視線」そのものを指すようになりました。
自然現象を人の表情やしぐさに重ねる発想は漢詩に多く見られる技法で、「秋波を送る」もそうした比喩の積み重ねの末に、日常語として定着した言葉のひとつです。









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