思し召しより米の飯

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心のこもった労りの言葉より、目の前の温かい一膳の飯のほうがありがたい。
そんな、建前より実利を優先する本音を表すことわざが、「思し召しより米の飯」(おぼしめしよりこめのめし)です。

意味

「思し召しより米の飯」とは、口先だけの好意や気遣いより、実際に役立つ物のほうがありがたいということという意味です。

名誉や建前よりも実利を選ぶ、正直で人間らしい本音を表した言葉です。

  • 思し召し(おぼしめし):相手を思いやる気持ちや好意
  • 米の飯(こめのめし):実際に食べられる、目に見える恵み

語源・由来

「思し召しより米の飯」は、江戸時代から伝わることわざで、「召し」と「飯」の語呂を重ねた言葉遊びとして作られたとされています。

形だけの気遣いを表す「思し召し」と、実際に腹を満たしてくれる「米の飯」を並べることで、感謝の言葉よりも具体的な恵みのほうがありがたいという本音を、軽妙な調子で言い表しました。
同じ発想を逆から表した「米の飯より思し召し」ということわざも伝わっており、こちらは気持ちのこもったもてなしを、食事そのものより喜ぶという反対の心理を表しています。

使い方・例文

「思し召しより米の飯」は、言葉だけの気遣いより実際の恵みをありがたく思う場面で使われます。

  • お礼の言葉だけでなく謝礼をもらい、思し召しより米の飯だと笑った。
  • 励ましより休暇が欲しいとは、まさに思し召しより米の飯だ。
  • 慰めの言葉より実際の手助けがほしいのは、思し召しより米の飯の心境だ。

類義語・関連語

「思し召しより米の飯」と同じように、建前より実利を重んじる考え方を表す言葉には、以下のようなものがあります。

  • 花より団子(はなよりだんご):
    風流よりも実利を選ぶこと。
  • 背に腹はかえられぬ(せにはらはかえられぬ):
    差し迫った事情の前では、体裁を気にしていられないこと。

「思し召しより米の飯」と「花より団子」の違い

どちらも実利を優先する考え方を表しますが、対比する対象に違いがあります。

語句対比する対象
思し召しより米の飯
(おぼしめしよりこめのめし)
相手の気持ちと、実際の恵み
花より団子
(はなよりだんご)
風流や見た目の美しさと、実用的な満足

江戸のことわざに残る、言葉遊びの技巧

「思し召しより米の飯」は、「召し」と「飯」という音の響きを重ねる掛詞かけことばの技法で作られたことわざである。
掛詞は和歌の世界で発達した言葉遊びの技法で、一つの音に複数の意味を持たせることで、限られた文字数の中に二重の情報を織り込む手法として使われてきた。
ことわざの世界でも、教訓を語呂の良さとともに記憶させる工夫として、こうした音の重なりを利用した表現がいくつか作られている。

形式張った気遣いより実際の恵みを喜ぶという、やや皮肉めいた本音を、深刻にならず軽い調子で伝えられるのも、この語呂合わせの効果である。

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