意味
「鼻で笑う(はなでわらう)」とは、相手を見下し、小馬鹿にするような態度で笑うことです。
声を立てて笑うのではなく、鼻先から短く息を吐き出すようにして、相手や物事を軽蔑する気持ちを示す仕草を表します。
取り合う価値もないという冷ややかな態度を伴う言葉です。
- 鼻(はな):ここでは、息を吐き出す仕草の象徴。
- 笑う(わらう):ここでは、あざけりの気持ちを表す。
語源・由来
「鼻で笑う」は、人が相手を軽蔑するときに実際に見せる、鼻先から息を漏らす仕草をそのまま言葉にした表現です。
使い方・例文
「鼻で笑う」は、相手や意見を見下し、取り合わない態度を示す場面で使われます。
- 彼は新人の提案を鼻で笑った。
- 真剣な相談を鼻で笑われて、彼女は悔しさを覚えた。
- ライバル会社の企画を、社長は鼻で笑って一蹴した。
混同されやすい「失笑する」
「失笑する」も相手を見下す笑いだと受け取られがちですが、本来はこらえきれずに吹き出してしまうことです。
文化庁の令和5年度「国語に関する世論調査」では、本来の意味で答えた人が26.4%、「笑いも出ないくらいあきれる」と答えた人が67.0%でした。
あきれて相手を見下す場面なら、「鼻で笑う」や「せせら笑う」が本来の言い方です。
類義語・関連語
「鼻で笑う」と同様に、相手を見下す笑いを表す言葉には、以下のようなものがあります。
- 冷笑する(れいしょうする):
さげすんで、冷ややかに笑うこと。 - せせら笑う(せせらわらう):
相手を馬鹿にして、冷やかに笑うこと。
「鼻で笑う」と「せせら笑う」の違い
どちらも相手を見下す笑いですが、言葉が名指している部分が違います。
「鼻で笑う」は鼻先から短く息を出すという笑い方そのものを指し、「せせら笑う」は笑い方を限定せず、ばかにする気持ちのほうを指します。
| 語句 | 名指しているもの | 込められた気持ち |
|---|---|---|
| 鼻で笑う (はなでわらう) | 鼻先から短く息を出す笑い方 | 軽蔑 |
| せせら笑う (せせらわらう) | 笑い方は問わない | ばかにする・あざける |
英語表現
sneer at
相手を見下し、鼻先で笑うようにあざける様子を表す表現。
He sneered at the young employee’s idea.
(彼は若手社員の提案を鼻で笑った。)
明治21年の小説『藪の鶯』に「鼻で笑われた」
1888年(明治21年)に出た三宅花圃の小説『藪の鶯』に、「鼻で笑う」が使われています。
ヨーロッパ留学から帰った青年篠原が、西洋の舞踏の習慣を道徳の面から批判したところ、相手の女性に「兄さんは洋行した甲斐もなく」と言われ、「フーンと鼻で笑われた」と友人に打ち明ける場面です。
篠原は「そのフーンが骨身に透ってぞっとした」と続け、それから相手が急にいやになったと語ります。
言い返されたのではなく、「フーン」と息を漏らされただけで心が離れた、という書き方です。
相手の意見を取り合わずに退ける笑いとして、「鼻で笑う」は明治の会話ですでにこのように使われていました。










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