ことわざ

錦を着て故郷へ帰る

(にしきをきてこきょうへかえる)

成功を収め、立派な姿になって故郷へ戻ること。


14文字の言葉」から始まる言葉
錦を着て故郷へ帰る ことば
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意味

錦を着て故郷へ帰るは、出世したり成功したりして、立派な姿で故郷へ帰ることという意味です。

錦とは、金糸や銀糸を用いて美しい模様を織り出した高級な絹織物を指します。
かつては富や高い身分の象徴であったため、それを身にまとって故郷へ戻る姿が成功の証とされています。

語源・由来

中国の歴史書に記された、楚の武将・項羽の言葉が由来とされています。

秦を滅ぼした項羽は、咸陽を都とするよう進言されたものの、これを退けて故郷・楚への帰還を主張しました。その理由として「富貴を得て故郷に帰らないのは、着飾って暗い夜道を歩くようなもので、誰も気づいてくれない」と語ったとされます。
この言葉から、成功して故郷へ戻ることを指す表現として定着しました。

使い方・例文

「錦を着て故郷へ帰る」は、大きな目標を達成し、成功者として地元へ戻る場面で使われます。

  • 都での厳しい修行を乗り越え、ついに錦を着て故郷へ帰る
  • 世界大会で優勝という素晴らしい結果を手に、錦を着て故郷へ帰る
  • 新たに立ち上げた事業を成功させ、錦を着て故郷へ帰る日が来た。

類義語・関連語

「錦を着て故郷へ帰る」と似た意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。

  • 故郷へ錦を飾る(こきょうへにしきをかざる):
    成功を収め、立派な姿で故郷へ帰るという意味です。
  • 衣錦還郷(いきんかんきょう):
    錦を着て故郷へ帰るという言葉を四字熟語で表したものです。
  • 凱旋(がいせん):
    戦いや競技などに勝利し、成功を収めて帰ることを指します。

「故郷へ錦を飾る」との違い

「錦を着て故郷へ帰る」と「故郷へ錦を飾る」は、どちらも成功を収めて地元へ戻ることを意味する同義語です。

大きな違いは、言葉の成り立ちとニュアンスにあります。「錦を着て故郷へ帰る」が中国の故事を由来とし、成功した本人の「立派な姿」に焦点を当てているのに対し、「故郷へ錦を飾る(故郷に錦を飾る)」は日本で派生して生まれた表現です。

後者の「飾る」という言葉には、自身の成功によって故郷に名誉や栄光をもたらすという、故郷への恩返しや誉れを添えるニュアンスがより強く含まれています。

英語表現

return home in triumph

意味:大勝利のうちに故郷へ帰るというニュアンスを持つ表現です。

The victorious army returned home in triumph.
(勝利した軍隊は、意気揚々と故郷へ帰還しました。)

return in glory

意味:栄光のうちに帰るという、大きな名誉を得た状態を表します。

The champion returned in glory after winning the title.
(チャンピオンはタイトルを獲得し、栄光のうちに帰国しました。)

『史記』は「錦」ではなく「繡」

項羽のこの言葉は、『史記』項羽本紀では「富貴にして故郷に帰らざるは、ぬいとりを衣て夜行くが如し」となっています。
着ているのは錦ではなく、刺繍をほどこした衣です。

同じ話を載せる『漢書』の陳勝項籍伝では、ここが「錦を衣て夜行くが如し」に変わっています。
日本に定着した「錦を着て」の形は、『漢書』のほうの表記を受けたものです。
同じ場面でも、写し伝えるうちに衣の種類が入れ替わりました。

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