意味
「挙国一致」とは、国民全体が心を一つにして、同じ態度をとることという意味です。
戦争や大きな災害のように国全体に関わる場面で使われる語で、会社や学校のような小さな集まりには使いません。
「挙国一致で取り組む」と動詞のように使うほか、「挙国一致内閣」のように別の語と結びついた形でも使われます。
- 挙国(きょこく):国じゅう。国全体。
- 一致(いっち):一つにそろうこと。
語源・由来
「挙国一致」は、明治時代の日本の文章に現れるようになった四字熟語です。
古い用例は、内田魯庵の『社会百面相』(一九〇二年)にあります。
そこには「抑も二十七八年の役に挙国一致して軍事に力瘤を入れ」とあり、明治二十七、二十八年の戦い、つまり日清戦争に国じゅうが力を注いだ様子をこの四字で言い表しています。
田山花袋の『田舎教師』(一九〇九年)にも「日本は小さいけれども、挙国一致ですから敵ひませんやな」という会話が出てきます。
使い方・例文
「挙国一致」は、国全体が一つの目標に向かう状況を語る場面で使われます。
- 復興には挙国一致の取り組みが要ると首相は演説で述べた。
- 五輪招致を挙国一致で進めた当時の空気を今も思い出す。
- 野党第一党を加えた挙国一致内閣の構想が浮上している。
小説での使用例
『官僚たちの夏』(城山三郎)
戦後の経済政策を国をあげて進めるべきだと説く場面で使われています。
戦争中と形こそちがうが、挙国一致のときなのだ
類義語・関連語
「挙国一致」と同じく、多くの人が一つにまとまることを表す言葉には以下のようなものがあります。
- 一致団結(いっちだんけつ):
多くの人が一つの目的のために心を一つにし、強くまとまること。 - 満場一致(まんじょういっち):
その場にいる全員の意見が完全に一つにそろうこと。 - 大同団結(だいどうだんけつ):
小さな違いを置いて、大きな目的のためにまとまること。
「挙国一致」と「一致団結」の違い
どちらもまとまることを言いますが、まとまる範囲が違います。
「挙国一致」は国全体を指し、範囲がはじめから決まっています。
「一致団結」は集まりの大小を問わず、部活動から会社まで幅広く使えます。
| 語句 | まとまる範囲 | 使う場面 |
|---|---|---|
| 挙国一致 (きょこくいっち) | 国全体 | 政治や戦争 |
| 一致団結 (いっちだんけつ) | 大小を問わない | 職場や学校 |
英語表現
national unity
国としてのまとまりを指す言い方で、政治の場面でそのまま使われる表現。
The crisis called for national unity.
(その危機は挙国一致を必要としました。)
「挙国一致内閣」という呼び名
一九三二年の五・一五事件で犬養毅首相が射殺され、そのあとに発足した斎藤実内閣は、挙国一致内閣と呼ばれました。
大正デモクラシー期から続いた政党政治の慣行は、ここで一度絶たれることになりました。
挙国一致内閣とは、政党内閣の慣行では対立するはずの政党や勢力が、非常時に党派の利害を棚上げして合流して組む内閣を指す呼び名です。
日本ではこの斎藤内閣に続き、1934年に成立した岡田啓介内閣もこの形をとりました。









コメント