意味
「オブラートに包む」とは、相手を刺激しないよう遠回しに伝えるという意味です。断りや批判、悪い知らせなど、そのまま口にすると角が立つ内容を伝えるときに使われ、粉薬を包むオブラートの、中身を覆って口当たりをやわらげる働きになぞらえた言い方です。
- オブラート:でんぷんなどで作った薄い膜。粉薬を包んで飲む。
- 包む(つつむ):中身が直接触れないように覆うこと。
語源・由来
「オブラート」は、オランダ語のoblaat、ドイツ語のOblateから来た外来語です。
日本の文献では村井弦斎の『食道楽』(1903年)に「オブラートが無ければ最中の皮を濡して包んでも宜いが」とあり、薬を包む品物として広まっていた様子がうかがえます。
それから数年のうちに、刺激をやわらげるものという意味で使われはじめ、国木田独歩の『病牀録』(1908年)には「恋は多く人生の苦痛を包むオブラアトなり」という一節があります。
言い方をやわらげる意味では、森茉莉の『贅沢貧乏』(1960年)の「見せかけの涙や温情のオブラアトで包んでゐる厭みもない」が、辞書の挙げる古い例です。
使い方・例文
「オブラートに包む」は、言いにくいことをどう伝えるかが話題になる場面で使われます。
- 断りの理由をオブラートに包んで伝えたが、相手は察したようだ。
- 部下の失敗は、オブラートに包んだ言い方で指摘するようにしている。
- そこまでオブラートに包むと、何が言いたいのか伝わらない。
類義語・関連語
「オブラートに包む」と同じく、物事の言い方そのものに目を向けた言葉には以下のようなものがあります。
- お茶を濁す(おちゃをにごす):
いい加減なことを言って、その場をごまかすこと。 - 物も言いようで角が立つ(ものもいいようでかどがたつ):
同じ内容でも、言い方によっては相手の感情を害すること。
対義語
「オブラートに包む」とは逆に、言葉をやわらげずにそのまま伝えることを表す言葉があります。
英語表現
sugarcoat
砂糖でくるむという意味から、都合の悪い話を口当たりよく伝えることを表す表現。
Don’t sugarcoat it. Just tell me what happened.
(オブラートに包まないで、何があったのか話してほしい。)
soften the blow
打撃をやわらげるという意味で、悪い知らせの伝え方を和らげることを指す表現。
He chose his words carefully to soften the blow.
(彼は言い方をやわらげようと、慎重に言葉を選んだ。)
聖餐のパンから、苦い薬を包む道具へ
「オブラート」は、オランダ語の「オブラート」、またはラテン語の「オブラートゥス」(円形の、の意)に由来する語です。
もとはキリスト教のミサで使われる聖餅を指す言葉でした。
日本では明治時代に、でんぷんを原料にした薄い膜状の食品として広まり、飲みにくい粉薬をこれで包んで服用する使い方が定着しました。
軟質のオブラートは日本で独自に改良されたもので、1902年頃に完成したとされています。
「オブラートに包む」という言い方は、この苦い薬を包んで飲みやすくする様子を、きつい表現をやわらげて伝えることのたとえに転じたものです。









コメント