意味
「片言隻語」は、「片言隻語も漏らさず書き留める」のように、わずかな言葉さえ聞き逃さないという文脈でよく使われます。
「片」も「隻」も一つ、わずかという意味で、ほんの短いひと言、断片的な言葉を指します。
「片言隻語にとらわれるな」のように、話の本筋から外れた細かい部分という意味で使うこともあります。
- 片言(へんげん):ほんのわずかな言葉。
- 隻語(せきご):ちょっとした短い言葉。
語源・由来
「片言隻語」は、中国の晋の文人だった陸機の文章に出てくる「片言隻字」がもとになっています。
陸機は、斉王冏から、帝位の譲り渡しにかかわる文書を人々と一緒に作ったと訴えられ、牢につながれました。
このとき書いた「謝平原内史表」という文章で、陸機は「片言隻字、其の間に関せず」、つまり「わずかな言葉も、少しの文字も、その件には関わっていない」と身の潔白を訴えています。
この文章は『文選』の巻三十七に収められており、日本ではこれが「片言隻語」「片言隻句」の形で使われるようになりました。
使い方・例文
「片言隻語」は、ごくわずかな言葉まで問題にする場面で使われます。
- 会見での片言隻語も漏らさず、記者たちが書き取っていた。
- 片言隻語をとらえて相手を責めるのは、そろそろやめたい。
- 手紙に残された片言隻語から、当時の暮らしを探っていく。
著作での使用例
『北の人』(金田一京助)
アイヌ語の研究のためサハリンに渡ったものの、慣れないうちは言葉が集められなかった時期を描いた場面で使われています。
皆目ことばが通ぜず、片言隻語も採集できずに、むなしく一日が暮れていくのである
「片言」は「かたこと」ではない
「片言隻語」の「片言」は「へんげん」と読み、わずかな言葉、ちょっともらした言葉という意味です。
同じ「片言」を「かたこと」と読むと、幼児や外国語の学習者が話すたどたどしい言葉を指し、別の言葉になります。
「片言隻語」の中では、必ず「へんげん」の読みで使われます。
類義語・関連語
「片言隻語」と同じく、ごく短いひと言を表す言葉には以下のようなものがあります。
- 一言半句(いちごんはんく):
ほんのわずかな言葉。ちょっとしたひと言。 - 片言隻句(へんげんせっく):
「片言隻語」と同じ意味で使われる言い方。 - 片言隻辞(へんげんせきじ):
ちょっとした短い言葉。
鳥を一羽持つ手から生まれた「隻」
「隻」は、船を「一隻」と数えるときに使う字ですが、もとは鳥を数える字でした。
後漢の字書『説文解字』は「隻は鳥一枚なり」と説き、手を表す「又」が鳥を持つ形だと説明しています。
「隹」は尾の短い鳥のことで、手に一羽つかんだ形が「隻」、二羽なら「雙」、つまり「双」にあたります。
「片言隻語」の「隻」も、この一つという意味で使われています。









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