意味
「音信不通」とは、連絡や便りがまったく届かず、相手との交際や行き来がとだえてしまっていることです。
電話や手紙などのやり取りが何もない状態を指し、「音信不通になる」「音信不通のまま」のように使われます。
「いんしんふつう」とも読みます。
- 音信(おんしん):便り。訪れ。
- 不通(ふつう):行き来や連絡がとだえること。
語源・由来
「音信不通」は、便りを指す「音信」と、途絶えることを指す「不通」が結びついてできた言葉です。
1688年の浮世草子『日本永代蔵』には「隣むかひも音信不通になりて」とあり、「ヰンシンフツウ」と読み仮名が振られています。
明治時代の国木田独歩『非凡なる凡人』(1903年)になると「正作の兄は十六の歳に家を飛び出し音信不通」と、「オンシンフツウ」の読み仮名で現れます。
使い方・例文
「音信不通」は、相手の消息がつかめなくなった相手について語るときに使われます。
- 卒業以来音信不通だった友人から、突然はがきが届いた。
- 兄は家を出たきり音信不通で、今どこにいるかも分からない。
- けんかのあと、彼とは半年ほど音信不通のままだ。
小説に登場する場面
『虞美人草』(夏目漱石)
親類との付き合いが絶えて、今では住まいすら分からないと語る場面で使われています。
これでも昔は親類も二三軒はあったんだが、長い間音信不通にしていたものだから、今では居所も分からない
類義語・関連語
「音信不通」と同じく、便りや連絡が届かない状態にかかわる言葉には以下のようなものがあります。
- 梨の礫(なしのつぶて):
便りを出しても何の返事もないこと。 - 無沙汰(ぶさた):
長く便りや訪問をしないでいること。 - 便りの無いのは良い便り(たよりのないのはよいたより):
連絡がないのは無事に暮らしている証拠だという言い方。
「音信不通」と「梨の礫」の違い
どちらも相手からの返事がない状態に使うため、置き換えたくなる場面があります。
「音信不通」は行き来そのものが絶えた状態を指し、「梨の礫」はこちらから働きかけたのに返事が来ないことを指します。
| 語句 | 指す状態 | 使う場面 |
|---|---|---|
| 音信不通 (おんしんふつう) | 行き来が絶えている | 消息が分からないとき |
| 梨の礫 (なしのつぶて) | 出したのに返事がない | こちらから連絡したとき |
英語表現
lose touch
連絡が途絶えて、相手の様子が分からなくなることを表す言い方。
I lost touch with him after graduation.
(卒業してから彼とは音信不通になった。)
out of contact
連絡がつかない状態が続いていることを表す言い方。
He has been out of contact for a month.
(彼は一か月も音信不通のままだ。)
「いんしん」から「おんしん」へ入れ替わった読み
「音信」の「音」は、「おん」が呉音、「いん」が漢音です。
明治時代になるまで、この語は「いんしん」と読まれていました。
「おんしん」の読みは1877年(明治10年)までには現れましたが、明治20年ごろまでは「いんしん」のほうが優勢で、その後は両方が並び立ち、戦後になって「おんしん」が優勢になったとされています。
常用漢字表は「音」の「イン」の読みの語例として「音信不通」を挙げ、備考に「オンシンフツウとも」と記しています。









コメント