意味
「梨の礫(なしのつぶて)」とは、こちらから連絡を送っても、相手からは一向に返事も音沙汰もないことです。
相手からの応答を期待して待つ側の、もどかしさやあきらめの気持ちがにじむ言葉です。
- 梨(なし):「無し」に掛けた語呂合わせ。
- 礫(つぶて):投げつける小石。
語源・由来
「梨の礫」は、投げた礫(小石)が戻ってこないことに、「梨」と「無し」の語呂合わせを重ねた言葉です。
連絡や便りを出しても、投げた礫のように返事が返ってこない状態を、「無し」を意味する「梨」に置き換えて表現しています。
果物の梨そのものに特別な由来はなく、あくまで音の響きを利用した言葉遊びから生まれた表現です。
使い方・例文
「梨の礫」は、連絡をしても相手から一切返事がない状況を表す際に使われます。
- 何度メールを送っても、梨の礫だ。
- 問い合わせの返事を待っているが、梨の礫のままだ。
- 彼に手紙を出したが、梨の礫で音沙汰がない。
類義語・関連語
「梨の礫」と同様に、連絡がないことを表す言葉には以下のようなものがあります。
- 音信不通(おんしんふつう):
連絡が完全に途絶えている状態。 - うんともすんとも言わない:一言の反応も返さない様子。
『曾根崎心中』には「梨も礫も」の形で出てくる
近松門左衛門の浄瑠璃『曾根崎心中』(1703年初演)で、遊女のお初は、久しぶりに会った恋人の徳兵衛に「此比は梨も礫も打たんせぬ」と言います。
「このごろは、ちっとも便りをくださらない」という恨み言です。
「梨も礫も」で音沙汰がないことを言い、礫は投げるものなので「打つ」と続けています。
近松は、1717年初演の『鑓の権三重帷子』でも「梨も礫も便りをせず」と書いています。
今は「梨の礫」の形で言いますが、江戸の中ごろの浄瑠璃では、「梨も礫も」と二つを並べた形でも、便りが無いことを言い表していました。










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