意味
「真一文字」は、漢字の「一」の形を、そのまま物の形や進み方にあてはめた言葉です。
「真一文字に口を結ぶ」のように使えば、横に引いた一本の線のようにまっすぐな形を表します。
「真一文字に突き進む」と使えば、寄り道をせず一気に進むという意味になります。
- 真(ま):まさしくそのとおりだ、という意味を添える語。
- 一文字(いちもんじ):「一」の字。横に引いた一本の線。
語源・由来
「真一文字」は、漢数字の「一」が横一本の線であることから生まれた言葉です。
軍記物語『太平記』の巻十にこの言葉が登場します。
新田義貞の軍勢が、潮の引いた稲村ヶ崎の砂浜をわき目もふらずに駆け抜け、鎌倉へなだれ込む場面です。
まっすぐな形と、わき目もふらないという二つの意味が、この場面では重なって働いています。
使い方・例文
「真一文字」は、口もとの形や進む道すじがまっすぐである様子を言い表すときに使われます。
- 唇を真一文字に結んだまま、彼は一言も答えなかった。
- 稲光が真っ暗な夜空を真一文字に切り裂いていった。
- ゴールだけを見つめ、真一文字に坂道を駆け上がった。
類義語・関連語
「真一文字」と同じように、わき目もふらずに進む様子を表す言葉には以下のようなものがあります。
- 一心不乱(いっしんふらん):
一つのことに心を集中させ、他のことに全く気をとられないこと。 - 一意専心(いちいせんしん):
ひたすら一つのことに心を集中し、他のことには脇目もふらないこと。 - 猪突猛進(ちょとつもうしん):
周囲を顧みず、目標に向かって猛烈な勢いで突き進むこと。
「真一文字」と「猪突猛進」の違い
二語とも、よそを見ずに進む様子を表す点は同じで、迷いやすい組み合わせです。
違いは、道すじの形をとらえているか、勢いの激しさをとらえているかにあります。
| 語句 | とらえる点 | ほめ・けなし |
|---|---|---|
| 真一文字 (まいちもんじ) | まっすぐな形と道すじ | どちらでもない |
| 猪突猛進 (ちょとつもうしん) | 周りを見ない勢い | あきれる響きを含む |
英語表現
straight as an arrow
矢のようにまっすぐだ、という形で線や道すじの直線ぶりを言い表す表現。
The road runs straight as an arrow across the plain.
(その道は平原を真一文字に走っています。)
make a beeline for
蜜蜂が巣へ戻る道すじにたとえて、寄り道せずまっすぐ向かうことを表す言い方。
He made a beeline for the buffet table.
(彼は料理の並んだ台へ真一文字に向かいました。)
文字の形で姿を言い表す言葉
「真一文字」に近い言い方には「大の字」「十文字」「十字」があります。
どれも漢字の形をそのまま姿の説明に借りた言い方で、「大の字に寝る」「十文字に縛る」のように動きにも当てはめられます。
口もとの形を「への字」と言うように、仮名の形を借りたものもあります。
この仲間の中で「真一文字」が受け持っているのは、横に引いた一本の線という最も単純な形です。









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