意味
「一罰百戒」は、「一」と「百」という数を向かい合わせに置いた四字熟語です。
罪を犯した一人を罰することで、ほかの大勢が同じことをしないよう戒めるというやり方を表します。
「百」はここでは実際の人数ではなく、ほかの大勢、つまり多くの人を指します。
- 一罰(いちばつ):一人を罰すること。
- 百戒(ひゃっかい):多くの人への戒め。
語源・由来
「一罰百戒」は、数の少なさと多さを対にして意味を強めた組み立てです。
国立国会図書館のデジタル化資料を全文検索すると、この言葉を使った本は1940年(昭和15年)前後のものが目立ちます(2026年9月時点)。
多くは戦時下の経済統制に関わる書物で、たとえば1940年に出た『統制違反に関する判例集』には「刑政の要諦は一罰百戒に存する」という一節があります。
使い方・例文
「一罰百戒」は、一件の処分を示して全体を引き締めようとする場面で使われます。
- 経営陣は一罰百戒の構えで、担当部長を懲戒処分にした。
- 一罰百戒のつもりだろうが、現場の空気は冷えるばかりだ。
- 校長は一罰百戒を口にしたが、生徒の反発を招いた。
類義語・関連語
「一罰百戒」と同じように、罰や失敗を通して全体を引き締めることを表す言葉には以下のようなものがあります。
- 信賞必罰(しんしょうひつばつ):
功績があれば必ず賞を与え、罪があれば必ず罰すること。 - 泣いて馬謖を斬る(ないてばしょくをきる):
規律を保つため、たとえ愛する者であっても違反者は厳しく処分すること。 - 前車の覆るは後車の戒め(ぜんしゃのくつがえるはこうしゃのいましめ):
先人の失敗は、後の人の教訓になるということ。
「一罰百戒」と「信賞必罰」の違い
どちらも罰を使って規律を保つことを表しますが、目を向けている先が違います。
「一罰百戒」は罰した一人ではなくそれを見ている大勢へのはたらきかけをいい、「信賞必罰」は賞と罰の両方をきちんと行うことをいいます。
| 語句 | 扱うもの | ねらい |
|---|---|---|
| 一罰百戒 (いちばつひゃっかい) | 罰だけ | 罰を見た大勢を戒める |
| 信賞必罰 (しんしょうひつばつ) | 賞と罰の両方 | 賞罰のけじめを厳正にする |
英語表現
make an example of someone
一人を見せしめとして罰し、ほかの人への警告にすることを表す言い方。
The company made an example of the manager who broke the rules.
(会社は規則を破った管理職を見せしめにしました。)
「百」の読みが変わるとき
「百」の読みは、あとに続く音によって「ひゃく」と「ひゃっ」に分かれます。
「一罰百戒」は「いちばつひゃっかい」、「百科」は「ひゃっか」と、カ行の音が続くところで「ひゃっ」になります。
「百発百中」は「ひゃっぱつひゃくちゅう」で、ハ行の「発」の前だけが「ひゃっ」に変わり、「中」の前は「ひゃく」のままです。
いっぽう「百戦百勝」は「ひゃくせんひゃくしょう」で、どちらの「百」も「ひゃく」と読みます。









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