慣用句

伝家の宝刀

(でんかのほうとう)

家に代々伝わる名刀。転じて、いざというときにだけ用いるとっておきの手段。


8文字の言葉 / 「て・で」から始まる言葉
伝家の宝刀 ことば
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意味

「伝家の宝刀(でんかのほうとう)」とは、いざという大事なときにだけ持ち出す、とっておきの手段のことです。
家に代々伝わる名刀を指す言葉が転じたもので、「切り札」「奥の手」にあたります。
動詞の「抜く」と組にして使われることの多い言い回しです。

  • 伝家(でんか):代々その家に伝わること。
  • 宝刀(ほうとう):宝物として大切にする刀。

語源・由来

「伝家の宝刀」は、もともと武家が家宝として受け継いだ刀そのものを指す言葉でした。
江戸時代後期の『日本外史』(1827年)にも、家宝の刀という意味で出てきます。
大切にしまってある刀をここぞという場面で持ち出すという形が、そのまま手段のたとえに移りました。

使い方・例文

「伝家の宝刀」は、めったに使わない強い手段を持ち出す場面で使われます。
「伝家の宝刀を抜く」の形で使われることがほとんどです。

  • ここで伝家の宝刀を抜くのは、いくらなんでも早すぎる。
  • 議長はついに伝家の宝刀を抜き、採決を打ち切った。
  • 部長の伝家の宝刀も、二度目となると効かなかった。

類義語・関連語

「伝家の宝刀」と同じように、ここぞという場面で持ち出す手段を表す言葉には以下のようなものがあります。

  • 奥の手(おくのて):
    容易に人に知らせない、とっておきの策。
  • 切り札(きりふだ):
    勝負を決めるために最後に出す、いちばん強い手段。

「伝家の宝刀」と「切り札」の違い

どちらもとっておきの手段を指しますが、言葉のもとになったものが違います。
「伝家の宝刀」は家に代々伝わる刀から出た言葉で、めったに使わないという点に重みがあり、「切り札」はカードゲームで他の札に勝つ札から出た言葉で、強さそのものを指します。

語句もとになったもの重きを置く点
伝家の宝刀
(でんかのほうとう)
家に伝わる名刀めったに使わないこと
切り札
(きりふだ)
カードゲームの札手段の強さ
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「天下の宝刀」という言い間違い

「伝家の宝刀」は「天下の宝刀」と言い間違えられることがあります。
文化庁の平成24年度「国語に関する世論調査」では、「いよいよというときに使う、とっておきの手段」をどう言うかを尋ねており、本来の言い方である「伝家の宝刀」を使う人が54.6パーセント、本来の言い方ではない「天下の宝刀」を使う人が31.7パーセントでした。
刀が家に代々伝わるという成り立ちからも、「伝家」が本来の形だと分かります。

英語表現

trump card

ほかの人より有利になる切り札、とくに人に知られていない強みを指す表現。

She was about to play her trump card.
(彼女はまさに伝家の宝刀を抜こうとしていました。)

ace up your sleeve

人に知られていない知識や技術を隠し持っていることを表すフレーズ。

He still has an ace up his sleeve.
(彼にはまだ隠し持った切り札があります。)

将軍足利義輝の最期と「伝家の宝刀」

永禄えいろく8年(1565年)5月19日、室町幕府13代将軍の足利義輝あしかがよしてるは、京都の御所を三好勢に襲われて命を落としました。
これを「永禄えいろくの変」といいます。
江戸後期に頼山陽らいさんようが書いた『日本外史』は、このとき義輝よしてるが家に伝わる宝刀を十振りあまり持ち出し、取り替えながら戦ったものの、刀はどれも欠けて折れたと描いています。

漢文の原文では、この刀を「伝家宝刀」と書いています。
ただし、事件に近い時期の記録には、義輝よしてるが刀を取り替えて戦ったという話は見えません。
切り札のたとえとしては、秦恒平はたこうへいの小説『迷走』(1976年)に「もし上がロックアウトという伝家の宝刀を抜けるなんて思ってたら」という一節があります。
経営側が働き手を職場から締め出すロックアウトを、めったに抜かない「伝家の宝刀」にたとえた言い方です。

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