意味
「古色蒼然」は、多くは「古色蒼然たる」「古色蒼然とした」の形で、建物や品物、制度などを言い表します。
時代を経て、いかにも年季を感じさせる古びた趣を表します。
- 古色(こしょく):年月を経て古びたつや。
- 蒼然(そうぜん):古びた様子。
語源・由来
「古色蒼然」は、中国の書物にさかのぼる言葉で、日本では明治の小説から使われています。
この言葉は、明の謝肇淛が書いた随筆『五雑俎』の人部三に出てきます。『五雑俎』は天・地・人・物・事の五つに分けて明の時代の政治や文化を論じた全16巻の書物で、1619年に成立し、江戸時代の日本でも広く読まれました。
日本では、坪内逍遙の『当世書生気質』(1885〜86年)に「上へ被たる南部の袷は、古色蒼然として襟垢つきたり」という一節が出てきます。
上に着ている袷はいかにも古びていて、襟に垢がついている、という意味です。
使い方・例文
「古色蒼然」は、建物や品物、決まりごとなどが、長い年月を経て古びて見えるさまを述べる場面で使われます。
- 蔵から出てきた掛け軸は古色蒼然として、字も読みにくい。
- 古色蒼然たる木造校舎が、そのまま資料館になっている。
- その規約は古色蒼然とした言い回しのまま残されている。
小説での使われ方
『駅前旅館』(井伏鱒二)
紡績工場の女工の一団が、旅館へ列をつくって現れる場面で使われています。
そんなところへ山田紡績の女工の一団が、うちの中番と於菊を先頭に、実に古めかしい古色蒼然たる二列縦隊をつくってやって来た
類義語・関連語
「古色蒼然」と同じように、長い年月を経た古さを表す言葉には以下のようなものがあります。
- 蒼古(そうこ):
古めかしいなかに、深い趣のあるさま。 - 旧態依然(きゅうたいいぜん):
昔のままの状態で、進歩や変化が見られない様子。 - 時代錯誤(じだいさくご):
時代の流れや常識から外れ、古臭く感じられること。
「古色蒼然」と「蒼古」の違い
どちらも見た目の古さを言う言葉で、古い建物や道具を評するときに並んで出てきます。
分かれるのは、古びて見えることを述べるだけか、その古さに趣を認めるかという点です。
| 語句 | 古さの見え方 |
|---|---|
| 古色蒼然 (こしょくそうぜん) | いかにも古びて見える |
| 蒼古 (そうこ) | 古めかしさに深い趣がある |
英語表現
timeworn
長く使われてきたあとが表に出ていることを表す言い方。
The temple gate was timeworn but still standing.
(その山門は古色蒼然としていましたが、まだ立っていました。)
antiquated
古めかしく時代に合わなくなっていることを表す言い方。
The office still runs on an antiquated filing system.
(その事務所は今も古色蒼然とした書類整理のやり方で動いています。)
「蒼然」は青色にも使われる漢字
「蒼然」には三つの意味があります。
一つ目は青々としているさまで、「蒼然たる月光」のように使います。
二つ目は薄暗くぼんやりしているさまで、「蒼然たる暮色に閉ざされる」のように、日の落ちた景色に使われます。
三つ目が古びて色あせているさまで、これにあたるのが「古色蒼然」です。
薄暗いさまの例には、二葉亭四迷の『浮雲』(1887〜89年)に出てくる「蒼然たる夜色に偸まれて」という表現があります。









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