意味
「嘉辰令月」は、「嘉」も「令」も「よい」を表す漢字で、それを日と月にそれぞれ添えて組み立てた四字熟語です。
祝いの場で、めでたくよろこばしい時節を言い表すときに使われます。
- 嘉辰(かしん):めでたい日。
- 令月(れいげつ):めでたい月。
語源・由来
「嘉辰令月」は、平安時代の詩歌集『和漢朗詠集』(1018年ごろ)に収められた漢詩の句から広まった言葉です。
下巻には「嘉辰令月歓無極 万歳千秋楽未央」という句があり、唐の謝偃の作として載っています。
「よい日よい月、喜びは果てしなく、いつまでも楽しみは尽きない」と、めでたさをたたえる二句の対になっています。
『和漢朗詠集』は藤原公任が編んだ本で、声に出してうたう「朗詠」に向いた漢詩の秀句と和歌を集めたものです。
使い方・例文
「嘉辰令月」は、祝賀の席の挨拶など、めでたい日を改まった言い方で示す場面で使われます。
- 創立百周年の嘉辰令月に、卒業生が全国から集まった。
- 祝辞は「嘉辰令月、心よりお慶び申し上げます」と始まった。
- 娘の婚礼という嘉辰令月に、父は震える手で杯を持った。
類義語・関連語
「嘉辰令月」と同じように、めでたさを言い表す言葉には以下のようなものがあります。
「嘉辰令月」と「千秋万歳」の違い
どちらも祝いの場で口にする言葉で、めでたさを言い表す点は同じです。
分かれるのは、目を向けている時間が「その日その時」か「これから先の長さ」かという点です。
| 語句 | 言い表す時間 | 使う場面 |
|---|---|---|
| 嘉辰令月 (かしんれいげつ) | その日その時 | 記念の日を示すとき |
| 千秋万歳 (せんしゅうばんぜい) | これから先の長さ | 末長い繁栄を願うとき |
英語表現
red letter day
暦に赤い字で書き込まれた祭日から生まれた、記念すべきめでたい一日を指す言い方。
Our wedding was a real red letter day for both families.
(私たちの結婚式は、両家にとって本当にめでたい一日でした。)
鎌倉時代の歌になった四字熟語
「嘉辰令月」は、歌の曲名としても使われました。
1301年(正安3)以前に成立した歌謡集『宴曲集』の巻二に、祝いの曲として「嘉辰令月」が収められています。
明空という人物の作詞・作曲といわれ、「嘉辰令月の曇り無き」という句で始まります。
曲のなかには、浜木綿や尾上の松といった植物、玉津島や高砂といった地名など、めでたいものの名が次々と織り込まれています。









コメント