意味
「千秋万歳」は、きわめて長い年月、転じて永遠という意味の言葉で、「せんしゅうばんぜい」と読むときは、人の長寿や家の末長い栄えを願うあいさつとして使われます。
一方、「せんずまんざい」と読むときは、平安末期に起こって中世に盛んになった、正月の祝福芸を指します。
宮中や寺社、家々を回って祝いの言葉を唱えて舞い、祝儀を受け取るもので、新年の季語にもなっています。
- 千秋(せんしゅう):千年。長い年月。
- 万歳(ばんぜい):万年。転じて永遠。
語源・由来
「千秋万歳」は、長い年月を表す言葉として古く中国から日本へ入ってきました。
日本の文献では『続日本紀』の天平八年(736年)十一月の記事が古く、橘宿禰の姓を賜る場面に「千秋万歳、相継いで窮まり無し」、つまり「千年万年、代々受け継がれて尽きることがない」と述べられています。
『平家物語』の巻六にも「ただ此君千秋万歳の宝算をぞ祈たてまつる」という一節があり、身分の低い者に至るまで、この君が末長く生きられるようにと祈ったと語られます。
正月の芸能としての「せんずまんざい」は、起こりのはっきりしない部分が残ります。
ただ、祝いの言葉として「千秋万歳」と唱えたところから、その名がついたとみられています。
芸能としての姿は『新猿楽記』(1061〜65年ごろ)に見えます。
使い方・例文
「千秋万歳」は、長寿や末長い繁栄を祝う場面で使われます。
- 祖父の百歳の祝いに、千秋万歳と書いた掛け軸を飾った。
- 新年の宴では、家の千秋万歳を願う言葉が交わされた。
- 中世の正月には、千秋万歳と呼ばれる一団が門口に立った。
小説での使用例
『田舎教師』(田山花袋)
皇室の栄えを祝って語る場面で使われています。
皇室の御栄えあらせらるることは、われわれ国民にとってまことに喜びにたえませんことで、千秋万歳、皆さんの毎日お歌いになる君が代の唱歌にもさざれ石の巌となりて苔のむすまでと申してございます通りであります
類義語・関連語
「千秋万歳」と同じく、長い年月や長寿をめでたいものとして表す言葉には以下のようなものがあります。
太夫と才蔵、二人一組の正月
中世から近世の「せんずまんざい」は、二人一組で演じるものでした。
扇を持った太夫が、鼓を打つ才蔵と掛け合いをしながら祝いの言葉を述べて舞います。
装束は時代で変わり、中世の前期は小松をかざした仙人風のいでたち、後期からは風折烏帽子に素袍という姿になりました。
近世には地域ごとに一座があり、江戸城には三河万歳が、京都御所には大和万歳が出入りしました。









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