意味
「女尊男卑」は、よく知られた「男尊女卑」とは逆に、女性を男性より尊いとすること、またあわせてそのような社会習慣も指す四字熟語です。
「女は尊い」「男は卑しい」という二つの見方を、二字ずつ並べて組み立てた言葉です。
一人ひとりの考え方だけでなく、世の中に行き渡った扱いの差について言う場合にも使われます。
- 尊(そん):位が高く、とうといこと。
- 卑(ひ):位が低く、いやしいこと。
語源・由来
「女尊男卑」は、明治の文章に現れる四字熟語です。
評論家の三宅雪嶺による『偽悪醜日本人』(1891年)に「米国は例の女尊男卑及拝金的の国柄故」という一文が出てきます。
当時のアメリカの国柄を評する言葉として使われたものです。
対になる「男尊女卑」のほうははるかに古く、中国の『列子』天瑞篇に「男女之別、男尊女卑」として出てきます。
古い書物から受け継がれた「男尊女卑」に対して、「女尊男卑」は近代の文章の中で目に見えるようになった言葉です。
使い方・例文
「女尊男卑」は、男女の扱いの差を話題にする場面で、「男尊女卑」と対にして使われます。
- うちの職場はむしろ女尊男卑だと冗談まじりに言われる。
- 明治の論者はアメリカを女尊男卑の国だと評した。
- 兄は母に頭が上がらず、我が家は女尊男卑だと笑う。
読み方の注意
「女尊男卑」は「じょそんだんぴ」と読みます。
「卑」はふつう「ひ」と読む字ですが、「男(だん)」の後ろに続くところでは「ぴ」となります。
対になる「男尊女卑」では「じょひ」と読むため、同じ字でありながら読みが入れ替わります。
類義語・関連語
「女尊男卑」と同じように、女性の側に重みが置かれた間柄を表す言葉があります。
- 嚊天下(かかあでんか):
一家の中で妻が夫よりも強い権力を振るっていること。
「女尊男卑」と「嚊天下」の違い
どちらも女性の側が上に置かれた関係を指しますが、目を向ける範囲が違います。
「嚊天下」は「亭主関白」と対になる家庭の中の言葉で、「女尊男卑」のように世の中全体の習慣まで含めて言う語ではありません。
| 語句 | 指す範囲 | 対になる言葉 |
|---|---|---|
| 女尊男卑 (じょそんだんぴ) | 社会の習慣まで | 男尊女卑 |
| 嚊天下 (かかあでんか) | 一つの家庭の中 | 亭主関白 |
対義語
「女尊男卑」と正反対の扱いを表す言葉には、次の四字熟語があります。
- 男尊女卑(だんそんじょひ):
男性を重くみて、女性を軽んじること。また、そのような考え方や風習。
文筆家・宮武外骨も知らなかった語源
明治から大正にかけて活動した文筆家・宮武外骨は、著書『面白半分』(1917年)で、「我が輩浅学にして未だその根拠の如何を知らずといえども、あるいは女尊男卑時代、母系制時代の語ならんかと思わる」と書いています。
「母系制」は家系を母方でたどる仕組みのことで、外骨は言葉のもとが分からないと断ったうえで、そうした時代に生まれた語ではないかと推し量っています。
この四字熟語が文章に現れるのは、いまのところ明治から大正にかけての時期に集まっています。









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