意味
「男尊女卑」とは、男性を高く、女性を低く見ること、またそうした考え方や慣習という意味です。一人ひとりの態度を指すこともあれば、社会に行き渡った制度や仕組みを指すこともある言葉で、家庭や職場のしきたりとして根強く残っている場合もあります。
- 尊(そん):位が高く、とうといこと。
- 卑(ひ):位が低く、いやしいこと。
語源・由来
「男尊女卑」は、中国の古い書物『列子』の天瑞篇に出てくる言葉です。
孔子が太山を旅していると、栄啓期という老人が鹿の皮を着て縄を帯にし、琴を弾きながら歌っていました。
何がそんなに楽しいのかと孔子が尋ねると、栄啓期は三つの楽しみを挙げます。
男女之別、男尊女卑、故以男爲貴。吾既得爲男矣、是二樂也
男女の別があって男が尊く女が卑しいとされ、だから男が貴い、その男に生まれられたのが二つ目の楽しみだ、という言葉です。
一つ目は人として生まれたこと、三つ目は九十歳まで生きられたことで、この三つを合わせて「三楽」といいます。
日本の文章では、1900年の福沢諭吉『修身要領講演』に「第八条 男尊女卑は野蛮の陋習なり」という一節が出てきます。
使い方・例文
「男尊女卑」は、男女の扱いに差がある考え方や仕組みを言い表すときに使われます。
- 祖父の家には男尊女卑の決まりごとが色濃く残っていた。
- 明治の民法は男尊女卑の考え方の上に組み立てられている。
- その発言は男尊女卑だと指摘され、会議は止まった。
小説での使われ方
『花埋み』(渡辺淳一)
明治の教育方針に江戸時代の考え方が持ち込まれたことを説明する場面で使われています。
これは徳川時代の「男女七歳にして席を同じうすべからず」という男尊女卑の思想が明治新政府の教育基本方針におり込まれたものであり
対義語
「男尊女卑」と「尊」「卑」が入れ替わり、意味が正面から向かい合う言葉があります。
- 女尊男卑(じょそんだんぴ):
女性を尊いとし、男性を卑しいとすること。また、そのような社会習慣。
英語表現
male chauvinism
男性のほうが優れているとする考え方を指す言葉。
The law of that era was based on male chauvinism.
(当時の法律は男尊女卑の考え方の上に成り立っていた。)
male-dominated
組織や社会が男性中心に動いている状態を表す言い方。
She grew up in a male-dominated society.
(彼女は男性中心の社会で育った。)
中国から日本へ入ってきた道筋
日本が8世紀前後に中国から律令制を取り入れたことに伴い、中国の律令制に含まれていた男尊女卑の考え方が支配層に広がったとされます。
時代が下るにつれてその考え方は支配される側にも広がり、近世には定着したとされます。
明治政府は近代的な法治国家をつくるにあたって西欧の近代法を取り入れましたが、当時の西欧近代法は家父長制、つまり家長である男性が家族を統率する仕組みを前提とした法体系でした。
明治政府は家父長制的な「家」制度を通じて国民を治めたため、この考え方は法を通じて社会の隅々にまで及んだとされます。










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