四字熟語

夷蛮戎狄

(いばんじゅうてき)

昔の中国で、周辺の異民族をまとめて見下して呼んだ総称。


8文字の言葉」から始まる言葉
夷蛮戎狄 ことば
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意味

「夷蛮戎狄」は、東の夷(い)・南の蛮(ばん)・西の戎(じゅう)・北の狄(てき)をひとつに束ね、古代中国が周囲の異民族をまとめて見下して呼んだ総称を指します。
中国を世界の文化の中心と見る考え方(中華思想)にもとづく言葉で、今日では差別的な色合いの強い古い呼び名として扱われます。

  • (い):東方の異民族を指した呼び名。
  • (ばん):南方の異民族を指した呼び名。
  • (じゅう):西方の異民族を指した呼び名。
  • (てき):北方の異民族を指した呼び名。

語源・由来

「夷蛮戎狄」は、中国の古典『礼記』の「王制」篇に由来する言葉です。
そこには、東方を夷といい髪を結わず体に入れ墨をする風習を持つこと、南方を蛮といい額に彫り物をすること、西方を戎といい髪を解き放ち獣の皮をまとうこと、北方を狄といい鳥獣の羽毛を着て穴に住むことが記され、中央の暮らしとは異なる四方の風俗が方角ごとに書き分けられています。
黄河流域に興った漢民族の文化を中心に置き、そこから離れるほど文化の程度が低いとみなす発想が、この呼び分けの背景にあります。
のちにこの発想は「華夷思想」と呼ばれ、中国の対外観を長く方向づけました。

中華思想 – Wikipedia

使い方・例文

「夷蛮戎狄」は、現代では当時の中華思想や対外観を説明する文脈で使われる言葉です。

  • 中国古代史の授業で夷蛮戎狄という考え方の背景を学んだ。
  • あの王朝は周辺の国々を夷蛮戎狄と呼び、服属を迫った。
  • 華夷思想を論じる文章に夷蛮戎狄という語が出てくる。

類義語・関連語

「夷蛮戎狄」と同じように、中国が周辺の異民族を見下して呼んだ言葉には以下のようなものがあります。

  • 蛮夷戎狄(ばんいじゅうてき):
    夷蛮戎狄と同じ四方の異民族を、並べ方を変えて呼んだ言い方。
  • 化外の民(けがいのみん):
    王の教化が及ばない、支配の外にいるとされた民。
  • 禽獣夷狄(きんじゅういてき):
    異民族を鳥獣も同然の存在として見下す、さらに強い言い方。

英語表現

barbarians

文明の外にいるとみなされた者を指す言い方で、四方の民を見下す語感の近い表現。

The ancient court once viewed its neighboring peoples as mere barbarians.
(古代の朝廷は、かつて周辺の民を単なる野蛮人とみなしていました。)

けものへんに透けた見下し方

「夷蛮戎狄」を漢字の成り立ちから見ると、四文字の扱いには差があります。
「狄」は犬を意味する部分を持つ字で、北方の民を犬になぞらえて表したとされます。
「蛮」も虫を表す部分を含み、南方の民を虫にたとえた字とされます。
一方「夷」は弓を持つ人を表す字、「戎」は矛と鎧を組み合わせた字が由来で、弓や武器の扱いに長けた人々を表すにとどまり、動物にはたとえられていません。
同じ四方の民を呼ぶ字でも、部首の選び方には見下し方の強弱が表れています。

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