四字熟語

尸位素餐

(しいそさん)

一定の地位にありながら職責を果たさず、むだに報酬を得ていること。


5文字の言葉し・じ」から始まる言葉
尸位素餐 ことば
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意味

「尸位素餐」とは、地位や役職にありながら、その務めを果たさず、ただ報酬だけを受け取っていることを表す四字熟語です。
怠けている本人を指すだけでなく、そうした人物を厳しく非難する際にも使われる、強い響きを持つ言葉です。

  • 尸位(しい):職責を果たさず、ただ地位についていること。
  • 素餐(そさん):働きもせずに、ただ報酬を受けること。

語源・由来

「尸位素餐」は、二つの古典に由来する言葉が漢代に一つに結びついてできた四字熟語です。
「尸位」は、中国最古の歴史書『書経』にある「太康尸位、以逸豫滅厥徳」(夏の太康は地位にとどまりながら遊興にふけり、その徳を失った)という一節に由来し、地位にとどまりながら職責を果たさないことを表します。
「素餐」は、『詩経』の「伐檀」という詩にある「彼の君子は、素餐せず」(あの立派な人物は、働きもせず報酬を得るようなことはしない)という一節に由来し、働かずに報酬だけを得ることを戒める言葉として使われました。
前漢の時代、朱雲という人物が皇帝を前にして、当時の大臣たちを「上は主君を正すことができず、下は民の益になることもできず、みな尸位素餐である」と批判したことが、歴史書『漢書』の朱雲伝に記されています。この故事によって二つの言葉が一つに結びつき、今の四字熟語として定着しました。

使い方・例文

「尸位素餐」は、地位にふさわしい働きをしない人物を厳しく非難する場面で使われます。

  • あの重役は尸位素餐の典型だと、社員たちの間で陰口を叩かれている。
  • 何の成果も出さないまま任期を終えるようでは、尸位素餐のそしりを免れない。
  • 彼は尸位素餐を恥じ、みずから役職を退いた。

類義語・関連語

「尸位素餐」と同じように、働きに見合わない立場や報酬を批判する言葉には以下のようなものがあります。

  • 無為徒食(むいとしょく):
    何もせずぶらぶらと日々を過ごすこと。
  • 月給泥棒(げっきゅうどろぼう):
    働きに見合わない給料を受け取っている人を指す俗な言い方。

「尸位素餐」と「無為徒食」の違い

どちらも働かない様子を表しますが、地位の有無が異なります。
「尸位素餐」は地位や役職についていることが前提ですが、「無為徒食」は地位を問わず、ただ何もせず過ごすことを指します。

語句地位の前提ニュアンス
尸位素餐
(しいそさん)
地位・役職についていることが前提職責を果たさないことへの非難
無為徒食
(むいとしょく)
問わない働かず日々を過ごすことへの非難

対義語

「尸位素餐」とは反対に、地位にふさわしい働きをすることを表す言葉には次のようなものがあります。

  • 粉骨砕身(ふんこつさいしん):
    力の限りを尽くして働くこと。
  • 鞠躬尽瘁(きっきゅうじんすい):
    身を慎み、死ぬまで力を尽くして職務に打ち込むこと。

英語表現

a mere figurehead

地位にありながら実質的な働きをしない人物を指す言い方。

The chairman was seen as a mere figurehead, doing little actual work.
(会長は尸位素餐の存在とみなされ、実質的な仕事をほとんどしていませんでした。)

祭壇に座るだけの代役

「尸位」の「尸」は、もとは中国古代の祭祀で使われた字です。
先祖の霊を祭る儀式では、亡くなった人の代わりに「尸」と呼ばれる人や人形が祭壇に座り、供え物を受け取る役目を務めました。
「尸」は祭壇に座っているだけで、自ら何かを行うことはありません。
そこから、地位にとどまりながら実質的な仕事をしない人を「尸位」にたとえる言い方が生まれたとされます。

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