意味
「気を揉む」は、結果がどうなるか分からない物事について、あれこれと考えては落ち着かない気持ちになることを表します。
自分ではどうにもできないもどかしさを伴う、心配のニュアンスが強い言葉です。
語源・由来
「気を揉む」の「揉む」は、両手で挟んでこすり合わせる動作を表す言葉です。何度もこすられて形が崩れていく様子が、気持ちが落ち着かずかき乱される状態と重なり、「気を揉む」という言い方が生まれたと考えられます。
人混みに押されて疲れる「人ごみに揉まれる」も、同じ「揉む」の使い方から来た表現です。
使い方・例文
「気を揉む」は、結果を心配して落ち着かない気持ちを表す場面で使われます。
- 息子の合格発表が近づくにつれ、母親は毎日気を揉んでいた。
- 取引先からの返事がなかなか来ず、担当者は気を揉み続けた。
類義語・関連語
「気を揉む」と同じように、心配で落ち着かない気持ちを表す言葉には、次のようなものがあります。
- 気が気でない(きがきでない):
心配のあまり、平静ではいられないこと。 - やきもきする:
物事の成り行きが気になり、いらいらしながら心配すること。
「気を揉む」と類義語の違い
いずれも心配で落ち着かない状態を表しますが、焦点が異なります。「気を揉む」は相手や物事の成り行きをあれこれ案じることを、「気が気でない」は心配のあまり平静を保てない心の乱れそのものを、「やきもきする」はいらだちを伴うじれったさを表します。
| 語句 | ニュアンス |
|---|---|
| 気を揉む (きをもむ) | 成り行きをあれこれ案じる |
| 気が気でない (きがきでない) | 心配で平静を保てない |
| やきもきする | いらだちを伴うじれったさ |
対義語
反対に、心配や緊張をほどいて心を落ち着ける様子を表す言葉もあります。
- 気を楽にする(きをらくにする):
心配や緊張をほぐして、リラックスすること。
英語表現
be on pins and needles
結果が気になって落ち着かない気持ちを表す言い方。
We were on pins and needles waiting for the test results.
(検査結果を待つ間、みんな気を揉んでいた。)
fret
あれこれ気に病んで心配する言い方。
Don’t fret about things you can’t control.
(自分では変えられないことに気を揉んでも仕方ない。)
浄瑠璃に残る300年前の「気を揉む」
「気を揉む」という言い方は、室町時代にはすでに使用例があり、江戸時代に入って現在とほぼ同じ「心配してやきもきする」という意味で定着したとされています。
文献上確認できる古い例のひとつが、1722年の浄瑠璃『浦島年代記』にある「女房達は気をもみ上げ、さっても手ばしかいお働き」という一節です。
ここでの「揉む」は、両手で挟んでこすり合わせる動作を、そのまま心の状態に当てはめた表現です。
手を休みなく動かし続ける様子が、落ち着かず思い悩む心の動きと重ね合わされ、江戸期の人々の間で定着していきました。









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