意味
「自然淘汰(しぜんとうた)」とは、環境に適したものが残り、適さないものが滅びていく現象という意味です。
生物学の用語で、「自然選択」とも呼ばれます。
また、時がたつうちに、優れたものが残り、劣ったものがひとりでに消えていくという意味でも使います。
こちらは生物以外の物事にも使います。
語源・由来
この言葉は、英語の natural selection(ナチュラル・セレクション)の訳語です。
natural selection は、ダーウィンとウォーレスが1858年に提出した進化論の中心になる考え方で、生物進化のしくみの中で最も重要な過程と考えられています。
日本では、訳語の自然淘汰が『哲学字彙』(= 訳語を集めた本)に収められました。
のちに加藤弘之が『人権新説』(= 加藤弘之の著書)で、社会や歴史を分析する概念として用いて論争を引き起こし、その結果この語が一般に広まりました。
使い方・例文
- 長い年月のうちに、環境に合わない種は自然淘汰されて数を減らした。
- 粗悪な模倣品は、使われるうちに自然淘汰されて店から消えた。
- 質の低い番組は視聴者が離れ、自然淘汰されていくものだ。
類義語
生存競争で優れたものが残る点で重なる語です。
- 優勝劣敗(ゆうしょうれっぱい):
力のまさった者が勝ち、劣った者が負けること。
「自然淘汰」と「優勝劣敗」の違い
どちらも、生存競争で優れたものが残り、劣ったものが滅びることを指せます。
優勝劣敗は強者と弱者の勝ち負けに、自然淘汰は環境に適しているかどうかに重きがある語です。
| 語句 | 意味と重点 |
|---|---|
| 自然淘汰 (しぜんとうた) | 環境に適したものが残り、適さないものが滅びること。環境に適しているかどうかが軸 |
| 優勝劣敗 (ゆうしょうれっぱい) | 力の強い者が勝ち残り、劣る者が負けること。強者・弱者の勝ち負けが軸 |
対義語
生物学の意味では、次の語が対になります。
- 人為淘汰(じんいとうた):
人間が意図的に行う淘汰。
自然淘汰は、個体どうしの争いを指す言葉ではありません
ダーウィンが自然淘汰と呼んだのは、次のような過程です。
生物は多くの子を生みますが、食物・光・水などの資源には限りがあるため、全部が生き残ることはできません。
しかも同じ種の個体にはさまざまな違いがあるので、生き残る確率は個体ごとに同じではありません。
この不平等な生き残りの過程が、自然淘汰です。
ダーウィンは、著書の中で「生存闘争」や「最適者生存」という言葉を、自然淘汰とほとんど同じ意味で使いました。
そのため、自然淘汰は同じ種の個体どうしの闘争だと誤解されることになりました。
実際には、資源をめぐって種の中で取っ組み合いの争いがあるわけではありません。

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