意味
「心ここに在らず(こころここにあらず)」とは、別のことに気を取られていて、目の前の物事に注意が向かないという意味です。
体はその場にいても、気持ちがよそへ行ってしまっている様子をいいます。
語源・由来
この言葉は、儒学の経典『大学』にある、次の一節がもとになっています。
心不在焉,視而不見,聽而不聞,食而不知其味。
(心がそこになければ、見ていても目に入らず、聞いていても耳に入らず、食べていてもその味が分からない。)
冒頭の「心不在焉」を日本語の語順で読んだ「心焉に在らず」が、見出し語の形です。
使い方・例文
- 試験の結果が気になって、友人の話にも心ここに在らずの返事しかできなかった。
- 転勤の話を聞かされた日、課長は会議の間じゅう心ここに在らずといった様子だった。
- 週末の旅行が待ち遠しくて、今週の授業はずっと心ここに在らずだ。
使うときの注意
ほかの事に心が向いていることが、この言葉の中心です。
疲れや寝不足で頭がぼうっとしている様子に使うのは誤りです。
また、何かに夢中になって我を忘れるという意味で使うのも誤りです。
関連語
- 放心(ほうしん):
心を奪われるなどして、魂が抜けたようにぼうっとすること。
ぼんやりした状態そのものをいう語。疲れてぼうっとしているだけなら、心ここに在らずとは言わない。
英語表現
miles away
考えごとをしていて、周りに注意が向いていない状態。
主にイギリス英語の言い方。
Sorry, what did you say? I was miles away.
(ごめん、何て言った? ほかのことを考えていたよ。)
直前には心を乱す四つの場合
『大学』では、この一節の直前に、心が正しさを失う場合として四つが挙げられています。
怒っているとき、恐れているとき、何かを好んで楽しんでいるとき、心配事を抱えているときです。
そのうえで「心不在焉」の一節が続き、身を修めるにはまず心を正すことだ、とまとめられています。
心を奪うものとして、怒りや不安だけでなく楽しみも数えられています。









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