百孔千瘡

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四字熟語 故事成語
百孔千瘡
(ひゃっこうせんそう)

9文字の言葉ひ・び・ぴ」から始まる言葉

古い建物の雨漏りを直そうとしたら壁のひび割れが見つかり、そこを埋めようとすれば今度は床が抜けてしまう。
そんな風に、あちこちに欠陥が見つかって、どこから手をつければいいのか分からないほどボロボロな状態。
このような、見る影もなく傷だらけになった様子を、
「百孔千瘡」(ひゃっこうせんそう)と言います。

意味・教訓

「百孔千瘡」とは、あちこちに穴が開き、傷だらけになって収拾がつかない状態を指す言葉です。
物理的に壊れていることだけでなく、計画や組織、あるいは理論などが欠点だらけでボロボロであることを比喩的に表現します。

  • 百・千:数が多いことの強調。
  • (こう):あな。
  • (そう):きず、できもの。

本来は立派だったものが、年月や過失によって修復不可能なほど損なわれているというニュアンスを含みます。

語源・由来

「百孔千瘡」の出典は、唐時代の文豪・韓愈(かんゆ)の詩『贈別宣城幕府諸公』です。
彼はこの詩の中で、当時の官吏制度(役人の仕組み)が腐敗し、欠陥だらけになっている様子を「官制百孔千瘡」と表現しました。

あちこちに穴が開き、切り傷だらけであるという生々しい描写を用いることで、社会の仕組みがもはや正常に機能していないことを痛烈に批判したのです。
この表現がのちに、物事や状態がひどく損なわれていることを指す四字熟語として定着しました。

使い方・例文

「百孔千瘡」は、単に「古い」と言うだけでは足りないほど、機能や信頼が失われた深刻な場面で使われます。

例文

  • 長年メンテナンスを怠ったこの橋は、専門家から見れば百孔千瘡の危険な状態だ。
  • 彼の主張は一見鋭いが、細かく検証すると「百孔千瘡」で矛盾だらけだった。
  • 「わがチームの守備は百孔千瘡だ」と監督が嘆くほど、次々と失点を許してしまった。
  • 付け焼き刃で作成したこの資料は、百孔千瘡な内容でとても会議には出せない。

誤用・注意点

「百孔千瘡」は「満身創痍(まんしんそうい)」と混同されやすいですが、使い分けに注意が必要です。
「満身創痍」は人間が傷ついている様子(肉体的・精神的)によく使われますが、「百孔千瘡」は主に物、制度、計画、議論など、仕組みや形あるものが壊れている際に向いています。

また、単に「少し穴がある」程度ではなく、「再生不能なほどひどい」という強い否定の響きがあるため、他人の努力の結果に対して使うと非常に失礼な表現になることがあります。

類義語・関連語

「百孔千瘡」と似た意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。

  • 千瘡百孔(せんそうひゃっこう):
    「百孔千瘡」と同じ意味。言葉の順序を入れ替えた表現で、同様に欠陥だらけな状態を指す。
  • 満身創痍(まんしんそうい):
    体中が傷だらけであること。転じて、激しい非難を受けて立ち直れないほどダメージを負った状態。
  • 支離滅裂(しりめつれつ):
    まとまりがなくバラバラで、筋道が全く通っていないこと。主に言動や文章の綻びについて使われる。

対義語

「百孔千瘡」とは対照的な意味を持つ言葉は、以下の通りです。

  • 完全無欠(かんぜんむけつ):
    欠点や不足が全くなく、どこから見ても完璧で整っている状態。
  • 金城鉄壁(きんじょうてっぺき):
    きわめて堅固で、付け入る隙がまったくないこと。

英語表現

「百孔千瘡」を英語で表現する場合、以下の定型表現がニュアンスをよく伝えます。

Riddled with holes

  • 意味:「穴だらけである」「欠陥だらけである」
  • 解説:物理的な穴だけでなく、理論や計画が矛盾だらけで使い物にならない時によく使われるイディオムです。
  • 例文:
    His argument was riddled with holes, so no one believed him.
    (彼の主張は百孔千瘡で、誰も信じなかった。)

Full of flaws

  • 意味:「欠点だらけの」
  • 解説:flaw(ひび、欠陥)がfull(いっぱい)であるという、非常に直接的な表現です。
  • 例文:
    The initial plan was full of flaws and needed a complete overhaul.
    (当初の計画は百孔千瘡だったため、抜本的な見直しが必要だった。)

知っておきたい豆知識:韓愈の情熱

「百孔千瘡」という言葉を編み出した韓愈は、非常に熱い正義感の持ち主でした。
彼は単に言葉遊びで「穴だらけ」と言ったのではなく、腐敗した政治や、形式ばかりで中身のない文学に対して、本気で怒りを感じていたのです。

彼が目指したのは、古い伝統をただ守ることではなく、形骸化したものを一度壊し、生命力のある言葉や制度を取り戻すことでした。
「百孔千瘡」という言葉には、現状を厳しく見つめ、改善を促すための「警鐘」としての意味が込められていたのです。

まとめ

あちこちに欠陥が見つかり、収集がつかないほどボロボロな状態を指す「百孔千瘡」。
この言葉を使うときは、単なる非難としてではなく、どこに問題があるのかを直視し、根本的な解決を図るための第一歩と捉えたいものです。

身の回りの古い物や、行き詰まった計画が「百孔千瘡」だと気づけたなら、それは「新しく作り直す絶好のチャンス」が訪れたと言えるかもしれません。

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