意味
「奇想天外(きそうてんがい)」とは、思いもよらないほど奇抜で、常識から完全に外れているという意味です。
天の彼方から突然アイデアが降ってきたかのような、驚きと面白さを表現しています。
良い意味で人を驚かせる際に使われますが、あまりに現実離れしていると呆れられる場合もあります。
- 奇想(きそう):普通ではない奇抜な考え。
- 天外(てんがい):天のはるか外側。
また、アフリカ南西部の砂漠に生える植物ウェルウィッチアの別名としても使われます。
語源・由来
「奇想天外」は、「奇想、天外より落つ(きそう、てんがいよりおつ)」という言葉が省略されて定着した四字熟語です。
「思いもよらない奇抜な発想が、空のはるか彼方からぽつんと落ちてきた」という情景を言い表しています。
「奇想天外より落つ」は、江戸時代から明治時代にかけての日本の漢詩の世界で、着想をほめる決まり文句だったとする見方があります。
広瀬旭荘の詩集『梅墩詩鈔』では、1823年(文政6年)に作られた詩に、師の評として「奇想が天から落ちてきた」という意味の漢文が添えられています。
のちに略した「奇想天外」の形が広まり、常識を超えたアイデアを指す言葉として使われるようになりました。
使い方・例文
「奇想天外」は、企画や作品、人の行動などが、常識の枠に収まらず非常にユニークである場面で使われます。
- あの作家の奇想天外なストーリー展開にはいつも驚かされる。
- 彼の発明はあまりに奇想天外で、誰も思いつかなかった。
- 子どもの奇想天外な発想に、大人たちも驚かされた。
類義語・関連語
「奇想天外」と同様に、常識から外れた驚きを表す言葉には以下のようなものがあります。
- 破天荒(はてんこう):
これまで誰も成し遂げたことのない偉業を行うこと。 - 突拍子もない(とっぴょうしもない):
常識や周囲の状況から大きく外れていて驚かせる様子。 - 奇抜(きばつ):
思いつきやデザインが普通ではなく、ひときわ目立つ状態。
「奇想天外」と「突拍子もない」の違い
どちらも常識から外れた驚きを表しますが、驚きの対象と質に明確な違いがあります。
「奇想天外」は面白さを伴う肯定的な驚きで、「突拍子もない」は単に常識から外れていることへの驚きです。
| 語句 | 対象となるもの | 使われる状況 |
|---|---|---|
| 奇想天外 (きそうてんがい) | アイデアや発想 | 奇抜な考えに驚いたとき |
| 突拍子もない | 行動や発言全般 | 常識から外れた言動に驚いたとき |
対義語
「奇想天外」とは対照的に、新しさがなくありふれた性質を表す言葉には以下のようなものがあります。
- 平凡(へいぼん):
特に優れた点や変わった点がなく、ありふれている状態。 - 月並み(つきなみ):
新鮮味がなく、どこにでもあってつまらない様子。 - 陳腐(ちんぷ):
古臭くてありふれており、すっかり魅力が色あせた状態。
英語表現
日常会話で使える、現実離れした驚きを表すフレーズを2つ紹介します。
out of the ordinary
普通や常識の範囲から外れているというニュアンスを持ちます。
It was an out of the ordinary idea.
(それは奇想天外なアイデアでした。)
bizarre
理解を超えた奇妙さや、風変わりな様子を表現する際に適しています。
He is always wearing bizarre clothes.
(彼はいつも奇想天外な服を着ています。)
明治は「奇想天外より落つ」、大正には今の使い方
明治の文章には、「奇想天外より落つ」を最後まで書いた形が出てきます。
国文学者の大和田建樹は明治27年(1894年)の『明治文学史』で、作家の須藤南翠の作品について「しばしば奇想天外より落つる事あり」と評しています。
(ときどき、思いもよらない着想がふっと浮かんでくることがある)
後ろに名詞を続けて、「奇想天外の一言」「奇想天外な事」のようにも使います。
大正6年(1917年)の画文集『校風漫画』には、東京美術学校の学生たちが旅先の宿で仮装行列を競い合い、「最後に奇想天外な事をやつて驚かしてやる」と意気込むくだりがあります。
ここでの「奇想天外」は、今と同じく、人を驚かせる思いがけない趣向を指しています。











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