意味
「天馬行空(てんばこうくう)」とは、着想や行動が型にはまらず、自由で勢いがある状態という意味です。
人の性格や行動力のほか、文章や芸術作品のスタイルが豪快で縛られていないことを称賛する際に使われる、肯定的な響きを持つ言葉です。
- 天馬(てんば):天の神が乗るような素晴らしい名馬。
- 行空(こうくう):空を行くこと。
語源・由来
歴史書『漢書』などには、漢の時代の皇帝であった武帝が、西域(現在の中央アジア)から血のような汗を流して走る優れた駿馬を手に入れたという記録が残されています。
その圧倒的な速さに感銘を受けた皇帝は、この馬を「天馬」と名付けたと伝えられています。
四字熟語の「天馬行空」は、のちの明の時代に、文人の劉廷振が詩人薩都剌の詩集に寄せた序文の言葉から来ています。
劉廷振は、薩都剌の詩がぬきんでてすぐれている様子を「なお天馬の空を行くがごとし」とたたえました。
ここから、「天馬行空」や「天馬空を行く」の形で、型にはまらない自由な発想や才能をほめる言葉として使われています。
使い方・例文
「天馬行空」は、常識を覆す発想や才能など、前向きな意味での勢いや自由さを表現する場面で使われます。
- 彼女が打ち立てた企画は、まさに天馬行空な発想でチームを驚かせた。
- あの書道家の筆致は天馬行空であり、見る者すべてを圧倒する迫力だ。
- 定年後は天馬行空に世界を巡り、何にも縛られずに暮らしたいものだ。
類義語・関連語
「天馬行空」と同様に、枠にとらわれない様子を表す言葉には以下のようなものがあります。
- 自由奔放(じゆうほんぽう):
他人の目や規則を気にせず、自分の思うままに振る舞う態度。 - 縦横無尽(じゅうおうむじん):
四方八方、どの方向にも限りなく自由に動く様子。 - 豪放磊落(ごうほうらいらく):
心が大きく、細かいことにこだわらない性格。
「天馬行空」と「自由奔放」の違い
どちらも枠にとらわれないことを示しますが、才能や勢いを含んで称賛するか、単なる振る舞いの自由さを示すかという決定的な違いがあります。
| 語句 | 焦点とニュアンス | 主な使用対象 |
|---|---|---|
| 天馬行空 (てんばこうくう) | 才能や発想の勢いがあり型破りであることへの称賛 | 芸術作品や優れた発想 |
| 自由奔放 (じゆうほんぽう) | 周囲を気にせず思いのままに行動する気ままさ | 日常的な態度や性格 |
対義語
「天馬行空」とは対照的に、枠にはまっていて融通が利かない様子を表す言葉です。
- 四角四面(しかくしめん):
非常に真面目だが、堅苦しくて面白味がない様子。 - 杓子定規(しゃくしじょうぎ):
ひとつの基準ですべてを律しようとし、応用や融通が利かない態度。 - 規矩準縄(きくじゅんじょう):
規則や基準にぴったりと合っていて、少しも外れないあり方。
英語表現
「天馬行空」の持つ、制限のない自由な様子を表す際に適した英語表現です。
free-spirited
規則や慣習にとらわれず、自由な精神や発想で行動する状態を表す表現。
Her ideas are always free-spirited and full of energy.
(彼女のアイデアはいつも天馬行空で、エネルギーにあふれている。)
翼を持たない天馬の正体
「天馬」という言葉から、ギリシャ神話に登場する翼の生えたペガサスを連想するかもしれません。
しかし、漢の武帝が「天馬」と名付けた汗血馬は、翼を持たない実在の馬です。
トルクメニスタン原産のアハルテケは、中国で「汗血馬」と呼ばれる品種です。
「天馬」は、現代では西洋の神話と結びついて翼を持った姿で描かれることも少なくありません。












コメント