「正々堂々」や「興味津々」など、漢字を繰り返す「々」(踊り字)を含む言葉は、リズムが良く、意味を強調する効果があります。
この記号の正体や読み方、そして日常会話からビジネスまで使える「々」を含む四字熟語や言葉を、構成パターン別に紹介します。
「々」の正体と読み方
漢字ではなく、繰り返しを示す記号
「々」は厳密には漢字ではなく、「踊り字(おどりじ)」や「繰り返し符号」と呼ばれる記号の一種です。
直前の漢字と同じ文字であることを示すために使われます。
一般的な呼び方
漢字ではないため「音読み・訓読み」はありませんが、便宜上以下のように呼ばれます。
- 同の字点(どうのじてん):同じ字を示す点という意味。
- ノマ:カタカナの「ノ」と「マ」を組み合わせた形に見えることから。
- くりかえし/おなじ:パソコン等の入力時に使われる。
【A々B々】リズム良く強調する四字熟語
「正々堂々(正正+堂堂)」のように、2文字の畳語を組み合わせた構成(AABB型)です。
リズムが良く、意味をいっそう強めます。
正々堂々(せいせいどうどう)
手段や態度が正しく、卑怯なところがない様子。
軍隊の陣立てが整って勢いがあるさまから転じました。
戦々恐々(せんせんきょうきょう)
ある出来事や結果を恐れ、びくびくとして落ち着かない様子。
「戦」は震えること、「恐」は恐れることを意味します。
奇々怪々(ききかいかい)
きわめて不思議で、常識では理解できないこと。
「奇」も「怪」も不思議なことを指し、それらを重ねて不気味さを強調しています。
津々浦々(つつうらうら)
至る所の港や海岸のこと。
転じて、全国のあらゆる場所、国中の隅々までという意味で使われます。
是々非々(ぜぜひひ)
良いことは良い、悪いことは悪いと、立場にとらわれず公平に判断すること。
「是か非か」をはっきりさせる態度です。
虚々実々(きょきょじつじつ)
互いに相手の隙をうかがい、策略を巡らせて戦うこと。
「虚(うそ)」と「実(ほんとう)」を織り交ぜて渡り合う様子です。
時々刻々(じじこっこく)
経過する時間の、その時その時。
また、時を追ってしだいに、という意味でも使います。
「刻一刻」と似た意味の言葉です。
子々孫々(ししそんそん)
子孫の末の末まで、子孫の続く限り、という意味です。
「子々孫々に至るまで」のように、遠い将来の世代までを含めて言うときに使います。
多士済々(たしせいせい)
優れた才能を持つ人材が多く揃っていること。
「済々」は数が多く盛んな様子を表します。
「たしさいさい」とも読みます。
喧々囂々(けんけんごうごう)
多くの人が口々に喋り、やかましい様子。
議論などが収拾つかないほど騒がしい状態を指します。
侃々諤々(かんかんがくがく)
ひるまずに大いに議論し合う様子。
「侃々」は剛直なさま、「諤々」はありのままを直言するさま。
※「喧々諤々(けんけんがくがく)」は、「侃々諤々」と「喧々囂々」を混同した誤用です。
明々白々(めいめいはくはく)
疑いの余地なく、はっきりしていること。
「明白」を強めた言葉です。
平々凡々(へいへいぼんぼん)
ごくありふれていて、特徴がない様子。
「平凡」を強めた言葉です。
唯々諾々(いいだくだく)
自分の意見を持たず、他人の言うことに何でも「はいはい」と従う様子。
「唯々」も「諾々」も、「はい」という返事の言葉です。
【〇〇A々】後半を強める四字熟語
「威風堂々(威風+堂堂)」のように、前半の熟語を後半の畳語(ABCC型)が修飾・強調し、状態や心理を生き生きと描写する言葉です。
威風堂々(いふうどうどう)
態度や雰囲気に威厳があり、立派な様子。
「威風」は威光のある風体、「堂々」は力強く立派なさまを表します。
興味津々(きょうみしんしん)
興味が尽きず、あとからあとから湧いてくる様子。
「津々」は絶えず湧き出ることを表します。
意気揚々(いきようよう)
得意そうで、いかにも誇らしげな様子。
「揚々」は得意げに振る舞うさま。
何かを成し遂げた時などに使われます。
虎視眈々(こしたんたん)
機会を逃すまいと、鋭い目つきでじっと様子をうかがうこと。
虎が獲物を狙って見下ろす様子から来ています。
粒々辛苦(りゅうりゅうしんく)
穀物の粒一つ一つに農民の苦労が宿っていること。
転じて、コツコツと地道な努力を重ねること。
筋骨隆々(きんこつりゅうりゅう)
筋肉や骨格がたくましく盛り上がっている様子。
「隆々」は勢いよく盛り上がるさま。
日常でよく使う「々」の言葉一覧
四字熟語以外にも、日常会話やビジネスで頻繁に使われる「々」を含む言葉(畳語)があります。
副詞的用法(様子を表す)
- 黙々(もくもく):一言も喋らず行う様子。
- 淡々(たんたん):こだわりがなく、あっさりした様子。
- 粛々(しゅくしゅく):静かに、決まった通りに進める様子。
- 着々(ちゃくちゃく):仕事などが順調に進む様子。
- 早々(そうそう):してすぐ。
「開始早々」。
また「早々(はやばや)」とも読む。 - 近々(ちかぢか/きんきん):近い未来に。
- 久々(ひさびさ):久しぶりに。
- 度々(たびたび):何度も繰り返し。
- 往々(おうおう):そうなることが多い様子。
「往々にしてある」。 - 重々(じゅうじゅう):十分に。
よくよく。
「重々承知している」。 - 延々(えんえん):長く続いて終わらない様子。
- 徐々(じょじょ):少しずつ進む様子。
- 堂々(どうどう):立派な様子。
隠さない様子。 - 悠々(ゆうゆう):ゆったりしている様子。
余裕がある様子。
名詞的用法(複数を表す)
- 国々(くにぐに):多くの国。
- 島々(しまじま):多くの島。
- 人々(ひとびと):多くの人。
- 数々(かずかず):たくさんの種類や数。
- 種々(しゅじゅ):いろいろな種類。
「種々雑多(しゅじゅざった)」など。 - 方々(ほうぼう):あちこち。
または「かたがた(多くの人々)」。 - 等々(とうとう):などなど。
その他いろいろ。
読み方に注意が必要な言葉
- 云々(うんぬん):とやかく言うこと。
「あれこれ」の漢語的表現。 - 努々(ゆめゆめ):(禁止を伴って)決して。
「努々疑うことなかれ」。 - 区々(まちまち):それぞれ異なっていること。
誤用・注意点
「々」が使えないケース
「々」はあくまで「直前の漢字」を繰り返す記号です。
意味の区切りが異なる場合は使用しません。
- NG:
- 民主主々(民主+主義なので、主は繰り返さない)
- 会社々長(会社+社長なのでNG)
行の先頭には置かない
「々」は前の文字を受ける記号なので、行の先頭(改行直後)に来ることはありません。
原稿用紙などで、たまたま行頭に来てしまう場合は、元の漢字(「怪」など)を書くのが正式なルールです。
まとめ
「々」という文字は、それ自体に読み方はありませんが、「前の言葉を強める」「複数を表す」といった重要な役割を担っています。









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