意味
「酔生夢死(すいせいむし)」とは、これといった目的も成し遂げないまま、ぼうっとした状態で一生を過ごしてしまうという意味です。
酒に酔ったような、あるいは夢を見ているような、現実感のない意識のまま日々をやり過ごす様子を表します。
単なる休息ではなく、人生の目標を失った「無為な状態」を批判したり、自戒したりする際に使われる言葉です。
- 酔生(すいせい):
酒に酔ったような心地で、うかうかと生きること。 - 夢死(むし):
夢を見ているかのような、はっきりしない意識のまま死ぬこと。
語源・由来
「酔生夢死」は、中国の北宋時代、儒学者の程頤が、亡くなった兄・程顥の生涯を記した「明道先生行状」に見える言葉です。
程顥の言葉として引かれた、次の一節が起源です。
雖高才明智,膠於見聞,醉生夢死,不自覺也。
(高い才知を持つ人でさえ、見聞きしたことに縛られ、酒に酔ったように生き、夢を見ているように死んで、自分では気づかない。)
以後この言葉は、漫然と日々を過ごすことへの警句として使われてきました。
使い方・例文
「酔生夢死」は、目的意識の欠如や、自堕落な生活態度を指摘する場面で使われます。
日常会話から文学的な表現まで幅広く用いられますが、相手の人生そのものを否定する響きがあるため、使用には注意が必要です。
例文
- 定年後、趣味も持たずに酔生夢死の日々を過ごしている。
- 若いうちに志を立てなければ、酔生夢死の徒に終わるだろう。
- 目標も持たずに流されるままでは、酔生夢死の一生で終わってしまう。
- 彼は才能がありながら、酔生夢死のような生活を送っている。
類義語・関連語
「酔生夢死」と似た意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。
- 無為徒食(むいとしょく):
これといった仕事もせず、ただぶらぶらと遊び暮らすこと。 - 飽食終日(ほうしょくしゅうじつ):
一日中お腹いっぱい食べて、何もしないで漫然と過ごすこと。 - 虚度光陰(きょどこいん):
何もしないまま、むなしく年月を過ごしてしまうこと。
対義語
「酔生夢死」とは対照的な意味を持つ言葉は、情熱を持って努力する様子を表すものです。
英語表現
「酔生夢死」を英語で表現する場合、以下のような表現が適切です。
Dream one’s life away
直訳すると「夢の中で一生を過ごす」となり、現実的な目標を持たずに人生を浪費することを指します。
You shouldn’t dream your life away like that.
(そんなふうに酔生夢死の生活を送るべきではない。)
Idle away one’s life
「怠けて過ごす」を表す idle に away を添え、何もしないまま一生を費やすことを表す表現。
He idled away his life without achieving anything.
(彼は何も成し遂げることなく、酔生夢死の人生を終えた。)
酔生夢死に通じる「行屍走肉」は後漢の学者の遺言
生きているのに生きていない、という言い方には「行屍走肉」という漢語もあります。
歩く屍、走る肉、という意味です。
晋の王嘉が書いた『拾遺記』巻六に出てきます。
後漢の任末という学者が、臨終の際に残した戒めとして、次のように記されています。
夫人好學,雖死若存;不學者雖存,謂之行屍走肉耳!
(人は学問を好めば、死んでも生きているようなものである。学ばない者は、生きていても歩く屍、走る肉と呼ぶほかない。)
「酔生夢死」が酒と夢にたとえたところを、こちらは屍にたとえています。











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