真偽をすぐに信じず、用心して受け止める姿勢。
このような疑わしい話への警戒を表すのが、「眉唾物」(まゆつばもの)です。
意味
「眉唾物」とは、真偽がはっきりせず、そのまま信じることができない物事や話という意味です。
相手を真っ向から否定するのではなく、「うますぎる話ではないか」と一歩引いて疑う、強い警戒心が含まれています。
語源・由来
「眉唾物」は、「眉に唾をつける」という用心のための動作から生まれた言葉です。
かつてキツネやタヌキが人を化かす際、眉毛の数を数えて心を惑わすと信じられていました。
そこで唾で眉を濡らして毛を寝かせ、正確な本数を数えさせないようにして難を逃れたといわれています。
この「だまされないように警戒する」という習慣が、信用できない物事を指す表現として定着しました。
江戸時代の俳諧や読み物にも、この用心についての記述が登場します。
使い方・例文
「眉唾物」は、主に信ぴょう性に欠ける情報を耳にした際に用いられます。
- あの投資話は利益が大きすぎて、どう考えても眉唾物だ。
- ネットに流れる未確認の情報は、眉唾物と言わざるを得ない。
- 彼の語る武勇伝はいつも誇張が多く、どこまでが本当か眉唾物である。
類義語・関連語
「眉唾物」と同様に、疑わしい様子を表す言葉には以下のようなものがあります。
- 胡散臭い(うさんくさい):
どことなく怪しい感じがして、油断できない様子。 - 眉に唾をつける:
だまされないように用心して、疑ってかかる行為。
「眉唾物」の語源となった動作そのものを指し、相手の言葉を鵜呑みにせず、冷静に裏付けを確認しようとする慎重な構えを表します。
「眉唾物」と「胡散臭い」の違い
これらはどちらも「怪しい」という意味ですが、疑う対象や不信感の種類が異なります。
| 語句 | 疑う対象 | 不信感の理由 |
|---|---|---|
| 眉唾物 (まゆつばもの) | 情報・内容 | 論理的な信ぴょう性の欠如 |
| 胡散臭い (うさんくさい) | 外見・雰囲気 | 直感的な違和感や気味の悪さ |
英語表現
日常会話で「疑わしい」と伝えたいときに使われる実用的な表現です。
doubtful
物事の確実性が低く、信じることが難しい状況を表す表現。
The story seems doubtful to me.
(その話は私には疑わしく思えます。)
take with a grain of salt
話をそのまま信じず、少し疑いを持って受け止めるという決まり文句。
You should take his words with a grain of salt.
(彼の言葉は割り引いて聞いたほうがいいよ。)
「眉に唾をつける」の意味
昔の日本では、眉は人の気配や心の動きが表れる場所として意識されていました。
そのため、「眉毛を読まれる」という言い方は、ただ本数を数えられることではなく、考えを見抜かれることを意味しました。
キツネやタヌキに化かされるという話も、心のすきを読まれてしまう不安と結びついています。
「眉唾物」という言葉には、相手の話をすぐに信じず、冷静に見極めようとする昔の知恵が残っています。









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