体のいい

『体のいい』の文字サムネイル 個別解説
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本当の理由は別にあるのに、当たり障りのない言葉で取り繕う。
そんな見せかけの言い分を表すのが、「体のいい」(ていのいい)です。

意味

「体のいい」とは、表向きの体裁だけが良く、実質を伴わない見せかけであるという意味です。

本音を隠すため、聞こえのよい言葉で言い換えていることを見抜いた際に使われます。
皮肉やあきれのニュアンスを含んだ、やや批判的な言葉です。

  • (てい):外から見たときの、見せかけの様子や体裁

語源・由来

「体のいい」は、江戸時代から使われてきた古い言い回しです。

1784年刊行の川柳集『柳多留』には「ていのいい馬どろぼう」という表現が見られ、聞こえのよい言葉で本性を隠す様子が、当時すでに揶揄の対象とされていたことが分かります。
近代に入ってからも、夏目漱石の小説『吾輩は猫である』(1905〜06年)に「体の善い泥棒だぜ」という一節があるなど、長く使われ続けてきた表現です。

使い方・例文

「体のいい」は、本音を隠すための見せかけの言葉や理由を指す場面で使われます。

  • それは体のいい断り文句にすぎない。
  • 体のいい厄介払いをされた気がする。
  • 異動という体のいい言い方で、実質的な左遷だった。

使うときの注意点

「体のいい」は「体裁のいい」という意味であり、健康効果を表す「体にいい」とは別の言葉です。
発音が似ているため混同しやすく、文脈によって使い分ける必要があります。

類義語・関連語

「体のいい」と同じように、見せかけだけを取り繕う様子を表す言葉には、以下のようなものがあります。

  • お為ごかし(おためごかし):
    相手のためを装いながら、実は自分の利益を図ること。
  • 見せかけ(みせかけ):
    実質を伴わず、うわべだけを取り繕うこと。

「体のいい」と「お為ごかし」の違い

どちらも見せかけを表しますが、焦点が異なります。「体のいい」は言葉や理由の体裁の良さを、「お為ごかし」は相手を思うふりをして裏に利己心を隠す行為を表します。

語句焦点
体のいい言葉・理由の体裁の良さ
お為ごかし裏に利己心を隠す行為

英語表現

a nice way of saying ~

「〜の聞こえのよい言い方」という意味で、都合の悪い本音を柔らかい表現で包み隠すことを表す言い回し。

“Restructuring” is just a nice way of saying layoffs.
(「再編」とは、要するに解雇の体のいい言い方だ。)

「体裁」を重んじる日本語の言い回し

日本語には、本音と建前を使い分けるための言い回しが数多く発達してきました。
「体のいい」という言葉自体が、そうした婉曲表現を見抜き、皮肉る側の視点から生まれている点が興味深いところです。

直接的な物言いを避け、聞こえのよい言葉で角を立てないようにする文化があるからこそ、その裏を見透かす「体のいい」という表現も、長く使われ続けてきたと考えられます。

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