ことわざ

語るに落ちる

(かたるにおちる)

問い詰められては言わないのに、自分から話すうちについうっかり秘密を白状してしまうこと。


7文字の言葉 / 「か・が」から始まる言葉
語るに落ちる ことば
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意味

「語るに落ちる(かたるにおちる)」とは、問い詰められては言わないことを、自分から話すうちについうっかり白状してしまうことです。
用心深く隠していたはずが、気の緩みからぼろを出してしまうという、皮肉な人間心理を映した言葉です。

  • 語る(かたる):自分から進んで話すこと。
  • 落ちる(おちる):観念して白状すること。

語源・由来

「語るに落ちる」は、「問うに落ちず語るに落ちる」ということわざが略された言葉です。

人は、他人から強く問い詰められているときは警戒心が働き、簡単には本音を明かしません。
ところが、自分から進んで気を許して話しているときは、その警戒心が緩み、ふとした拍子に隠していたはずの事実を漏らしてしまうことがあります。
この「問われては白状しないのに、自ら語るうちに白状してしまう」という人間心理の機微を捉えた言い回しが、時を経て「語るに落ちる」という形に簡略化され、定着したといわれています。

使い方・例文

「語るに落ちる」は、問い詰めても認めなかった人が、自らの発言でうっかり本音や秘密を明かしてしまった場面で使われます。

  • 言い訳を重ねるうちに矛盾が生じ、まさに語るに落ちる結果となった。
  • 知らないと言い張っていたのに、詳しく話すうちに語るに落ちてしまった。
  • 尋問には黙秘したが、雑談の中で語るに落ちる形となった。

誤用・注意点

「語る価値がない」という意味ではない

「語るに足りない」「つまらない」といった意味で誤用されることがありますが、本来の「語るに落ちる」に、話の内容が面白いかどうかという要素は含まれていません。
あくまで「話すうちにうっかり本音や秘密を漏らしてしまう」という意味に限定して使うのが正しい使い方です。

「語るに落ちない」という表現はない

「語るに落ちる」を打ち消した「語るに落ちない」という言い方は、慣用句として存在しません。
この言葉は、あくまで「語るに落ちる」という一つの決まった形で使われます。

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類義語・関連語

「語るに落ちる」と同様に、うっかり本音や秘密を漏らしてしまう様子を表す言葉には、以下のようなものがあります。

  • 口が滑る(くちがすべる):
    言ってはいけないことを、うっかり話してしまうこと。
  • ぼろを出す(ぼろをだす):
    隠していた欠点や失敗を、うっかり表に出してしまうこと。

「語るに落ちる」と「口が滑る」の違い

どちらもうっかり口を滑らせる様子を表しますが、状況設定に違いがあります。
「語るに落ちる」は、問い詰められては話さないのに自ら話すうちに白状してしまうという心理の対比を示すのに対し、「口が滑る」は状況を問わず、単にうっかり言ってはいけないことを口にしてしまう場合に使われます。

英語表現

「語るに落ちる」を英語で表現する場合、以下のフレーズが適しています。

give oneself away

直訳は「自分自身を明け渡す」で、言葉や態度から無意識に本心や秘密を漏らしてしまう様子を表す表現。

He tried to stay calm, but his nervous laugh gave him away.
(彼は平静を装おうとしたが、上ずった笑い声で語るに落ちる結果となった。)

芥川龍之介は「語るに落ちる」を創作に当てた

芥川龍之介の短文集『侏儒しゅじゅの言葉』(1923〜27年)には、「創作」と題した章に、この言葉がもとの長い形で出てきます。
「我我は妙に問うに落ちず、語るに落ちるものである。我我の魂はおのずから作品に露あらわるることを免れない」(人は問われると白状しないのに、自分から語ると本音を漏らしてしまう。私たちの魂は、どうしても作品に表れてしまう)。

芥川がここで言う「語る」は、作品を書くことです。
同じ章で芥川は、作品の美醜びしゅうの半分か大半は、作者が意識して作れる範囲を超えていると書いています。
問い詰める相手がいなくても、書くうちに隠していた心がにじみ出ます。
芥川は「語るに落ちる」を、そうした書き手自身のこととして使いました。

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