旅支度の荷物から日々の持ち物まで、残らずひとまとめにして持ち歩く、そんな何もかも全部というありさまを表すのが、「一切合切」(いっさいがっさい)です。
意味
「一切合切」とは、残らずすべて、何もかも全部という意味です。
物や事柄を一つも漏らさず含めるニュアンスを持ち、勢いのある強調表現として使われます。
- 一切(いっさい):残らず全部。
- 合切(がっさい):一切と同じ意味を重ねた語。
語源・由来
「一切合切」は、「一切」という言葉に、同じ意味を持つ「合切」を重ねることで、意味をいっそう強めた表現です。
「一切」はもともと仏教の言葉で、この世に存在するあらゆる物事を指す語として使われてきました。
江戸時代には、身の回りの持ち物を何もかも一つにまとめて入れる袋が「合切袋(がっさいぶくろ)」と呼ばれ、当時の辞書『俚言集覧』にも「身に携帯するものを一切入るる袋をいう」と記されており、「一切合切」という言葉が当時すでに日常語として定着していたことがうかがえます。
使い方・例文
「一切合切」は、持ち物や事情など、あらゆるものを一つも残さず含める場面で使われます。
- 引っ越しの際、家財道具を一切合切処分してしまった。
- 事情を一切合切話してもらわないと、力になれない。
- 借金の一切合切を、彼が一人で背負うことになった。
類義語・関連語
「一切合切」と同様に、残らず全部であることを表す言葉には、以下のようなものがあります。
- 一部始終(いちぶしじゅう):
物事の始めから終わりまでの、すべての事情。 - 根こそぎ:
あとに何も残さず、すべて取り去ってしまう様子。 - 洗いざらい:
隠すことなく、何もかも残らず打ち明ける様子。
英語表現
lock, stock, and barrel
意味:ある物事に関わるすべてのものを、余すことなく含めることを表す表現
- 例文:
They sold the business, lock, stock, and barrel.
彼らは事業を一切合切売り払った。
the whole kit and caboodle
意味:関連するものすべてをひっくるめて指す、くだけた言い回し
- 例文:
He packed up the whole kit and caboodle and moved out.
彼は荷物を一切合切まとめて引っ越していった。
道具の名前にもなった「一切合切」
「一切合切」という言葉は、かつて実際の道具の名前としても形を持っていました。
江戸時代に生まれた「合切袋」は、財布や煙草入れ、印鑑などの身の回り品を一つにまとめて携帯するための巾着型の袋です。
太平の世が続いた江戸時代には旅を楽しむ人々が増え、この合切袋の需要も高まり、素材やデザインの種類も豊富になっていったといわれています。
抽象的な「何もかも全部」という意味の言葉が、こうして実際に持ち歩ける一つの袋の名前としても定着していた点は興味深い事実です。









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