仏教が由来の日常語一覧|有頂天・四苦八苦・醍醐味など62語

仏教が由来の日常語一覧 特集
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因果応報や有頂天、日常茶飯事など、普段何気なく使っている言葉の中には、実は仏教の教えや経典から生まれたものが数多くあります。
教義としての堅苦しさが消え、すっかり日常語として定着した言葉を、由来のテーマごとに分類してまとめました。

人とのつながりを表す言葉

  • 会うは別れの始め(あうはわかれのはじめ):
    出会った者は必ず別れるという「会者定離」を言い換えた言葉。人との別れを惜しむ場面で使う。
  • 袖振り合うも多生の縁(そでふりあうもたしょうのえん):
    輪廻転生の考えから、些細な出会いも前世からの因縁とみなす言葉。
  • 以心伝心(いしんでんしん):
    禅で、悟りが師から弟子へ言葉によらず心から心へ伝わるとされたこと。言葉なしに気持ちが通じ合う様子。
  • 阿吽の呼吸(あうんのこきゅう):
    万物の始まりと終わりを表す梵字「阿」と「吽」から。息の合った絶妙なタイミングのこと。
  • 和顔愛語(わげんあいご):
    仏典に説かれた、穏やかな顔と優しい言葉で人に接する菩薩の態度。人当たりの良い接し方のたとえ。
  • 合縁奇縁(あいえんきえん):
    仏の教えに導かれる「機縁」と情による結びつき「愛縁」が結びついた言葉。人と人の相性の不思議さ。
  • 一蓮托生(いちれんたくしょう):
    死後に極楽浄土の同じ蓮の上に生まれ変わろうと誓う教え。結果を問わず運命を共にすること。
  • 老婆心(ろうばしん):
    禅僧が弟子を老婆のように細かく世話し導いた態度から。おせっかいなほどの親切心のこと。
  • 冥利に尽きる(みょうりにつきる):
    神仏が人知れず与える恩恵「冥利」から。立場や役割ゆえに得られる最高の喜びのこと。
  • 二枚舌を使う(にまいじたをつかう):
    仏教で戒める十悪の一つ「両舌」の言い換え。話す相手によって矛盾したことを言うこと。

心と向き合う教えから生まれた言葉

  • 一心不乱(いっしんふらん):
    浄土教で、雑念なく一心に念仏を唱えよと説いた教え。一つのことに深く集中すること。
  • 無我夢中(むがむちゅう):
    自分という実体を否定する仏教の根本教義「諸法無我」から。我を忘れるほど何かに没頭すること。
  • 一念発起(いちねんほっき):
    出家して仏道に入ろうとする強い決心が生まれる過程を表した言葉。心を入れ替えて取り組むこと。
  • 意馬心猿(いばしんえん):
    制御しがたい心を、暴れる馬と騒ぐ猿にたとえた教え。煩悩に振り回されて落ち着かない様子。
  • 慧眼(けいがん):
    仏や菩薩が備える五つの認識力「五眼」の一つ。物事の本質を鋭く見抜く力のこと。
  • 我利我利(がりがり):
    自分の利益だけを求める心「我利」を重ねた言葉。他人を顧みない強欲な態度のこと。
  • 慙愧に堪えない(ざんきにたえない):
    自分の良心に恥じる「慙」と他人の目に恥じる「愧」から。深く反省し恥じ入る気持ちのこと。
  • 魔が差す(まがさす):
    善行を妨げる悪神「魔羅」が心に入り込むという発想から。ふと悪いことをしてしまうこと。
  • 無二無三(むにむさん):
    法華経の「仏となる道はただ一つ」という教えの言い換え。わき目もふらず一途になること。
  • 割愛する(かつあいする):
    物や人への執着「愛」を断ち切る修行者の姿から。惜しいものを手放すこと。

因果と運命を説く言葉

  • 果報は寝て待て(かほうはねてまて):
    行いの結果である「果報」がいつ訪れるかは天の領域という考え。焦らず幸運を待つこと。
  • 未来永劫(みらいえいごう):
    仏教の宇宙観で計り知れない時間の単位「劫」に由来。これから先ずっと続く長い時間のこと。
  • 一粒万倍(いちりゅうまんばい):
    一粒の種の実りに例えた因果応報の道理。小さな行いが大きな報いとなって返ること。
  • 有為転変(ういてんぺん):
    原因と条件で仮に生じたものは移り変わるという仏教の世界観。物事が絶えず変化すること。
  • 羊の歩み(ひつじのあゆみ):
    屠殺場へ引かれる羊の比喩とされる経典の一節。逃れようのない運命へ向かう歩みのこと。
  • 屠所の羊(としょのひつじ):
    羊の歩みと同じ経典の比喩から。死や不幸が刻一刻と迫っていることのたとえ。
  • 冥土の土産(めいどのみやげ):
    死者の魂が向かう「冥土」へ持っていく土産という発想から。死ぬ間際に叶った嬉しい出来事のこと。
  • 往生際が悪い(おうじょうぎわがわるい):
    死を前に信心を持てず心穏やかに逝けない様子から。負けや非を認められない態度のこと。

この世のはかなさを説く言葉

  • 後生大事(ごしょうだいじ):
    死後の世界「後生」での救いを願い必死に念仏を唱えた姿から。物を大切に抱え込む様子のこと。
  • 日常茶飯事(にちじょうさはんじ):
    禅の「真理は日々の茶や飯の中にある」という教え「家常茶飯」から。ありふれた出来事のこと。
  • 未曾有(みぞうう):
    仏の功徳をたたえる経典の一分類「未曾有法」から。今までに一度もなかった、きわめて珍しいことのたとえ。
  • 日々是好日(ひびこれこうじつ):
    禅僧・雲門文偃うんもんぶんえんの言葉。あらゆる出来事を評価せずありのまま受け取る境地のこと。
  • 有頂天(うちょうてん):
    仏教の世界観で最も高い領域を指す言葉。喜びのあまり我を忘れ得意の絶頂にいる状態。
  • 泡沫夢幻(ほうまつむげん):
    この世のあらゆる現象は夢や幻のようだと説く経典の一節から。はかなく消えやすいもののたとえ。
  • 夢幻泡影(むげんほうよう):
    泡沫夢幻と同じ経典の言葉の並びを変えた四字熟語。実体のないもののたとえ。

苦しみや戒めを説く言葉

  • 獅子身中の虫(しししんちゅうのむし):
    仏の教えを内部から破壊する者を体内の虫にたとえた経典の教え。内部から害をなす者のこと。
  • 四苦八苦(しくはっく):
    釈迦が説いた、思い通りにならない根本の苦しみ「四苦」に四つを加えた教え。非常に苦労すること。
  • 阿鼻叫喚(あびきょうかん):
    仏教の八大地獄「阿鼻地獄」と「叫喚地獄」を組み合わせた言葉。むごたらしい状況で人々が泣き叫ぶ様子。
  • 金輪際(こんりんざい):
    仏教の宇宙観で大地の最下層を指す言葉。
    「絶対に」という強い打ち消しを表す言葉になった。
  • 不如意(ふにょい):
    僧侶が持つ法具「如意」を打ち消した言葉。物事が思い通りに進まずもどかしい状況のこと。
  • 修羅場(しゅらば):
    帝釈天と鬼神・阿修羅が果てしなく戦った神話の場所から。激しい戦いや争いが絶えない状態のこと。
  • 火の車(ひのくるま):
    生前の罪人を炎の車で地獄へ運ぶという教えから。家計や経営の資金繰りが苦しい状態のこと。
  • 指をさして月を見ず(ゆびをさしてつきをみず):
    教えを示す言葉に執着し肝心の真理を見失う人を説いた経典の教え。手段にとらわれ本質を見失うこと。
  • 七難八苦(しちなんはっく):
    経典が説く七つの災い「七難」と、四苦に四つを加えた「八苦」。さまざまな苦難が幾重にも重なること。
  • 狂言綺語(きょうげんきご):
    仏教で戒める悪い言葉づかい「綺語」から。道理を外れた根拠のない言葉のこと。

壮大なスケールをたとえた言葉

  • 七珍万宝(しちちんまんぽう):
    極楽浄土を飾るとされた七つの宝「七珍」から。数えきれないほど貴重な宝物のこと。
  • 言語道断(ごんごどうだん):
    仏教の深遠な真理は言葉で言い表せないという教え。もってのほかであることのたとえ。
  • 唯我独尊(ゆいがどくそん):
    釈迦が誕生の際に唱えたと伝わる「天上天下唯我独尊」から。自分だけが優れていると自負する態度。
  • 八面六臂(はちめんろっぴ):
    インド由来の神像に見られる多くの顔と腕を持つ姿から。一人で何人分もの働きをすること。
  • 醍醐味(だいごみ):
    乳製品を精製する五段階の最上位「醍醐」に仏の教えをたとえた経典から。物事の本当の面白さのこと。
  • 無尽蔵(むじんぞう):
    尽きることのない功徳を財宝にたとえた経典の言葉。いくら取っても尽きることがないもののたとえ。
  • 桜梅桃李(おうばいとうり):
    それぞれの草木が本来の性質のまま悟りを開くという教え。各々が個性を磨き自分らしく輝くこと。
  • 三面六臂(さんめんろっぴ):
    三つの顔と六本の腕を持つ阿修羅像の姿から。一人で何人分もの働きをする非凡な活躍のこと。
  • 百尺竿頭(ひゃくしゃくかんとう):
    高い竿の先まで登ってもさらに一歩進めという禅の教えから。到達した境地に満足せず努力を重ねること。
  • 一切合切(いっさいがっさい):
    この世のあらゆる物事を指す仏教語「一切」に「合切」を重ねた言葉。残らずすべてのこと。
  • 有象無象(うぞうむぞう):
    形あるものとないもの、この世のすべてを表した仏教語「有相無相」から。取るに足らない人や物の集まりのこと。

暮らしに溶け込んだ考え方

  • 単刀直入(たんとうちょくにゅう):
    禅の問答で師が弟子を悟りへ鋭く導く様子を表した書物の言葉。前置きなく本題に切り込むこと。
  • 不即不離(ふそくふり):
    煩悩と悟りなど相反する概念が切り離せない関係にあるという大乗仏教の教理。つかず離れずの状態のこと。
  • 無病息災(むびょうそくさい):
    災難を鎮める仏教用語「息災」と「無病」が結びついた言葉。病気や災難がなく健康であること。
  • 融通無碍(ゆうずうむげ):
    万物が互いに溶け合い妨げなく調和するという華厳経の教え。何ものにもとらわれず自由でいること。
  • 行雲流水(こううんりゅうすい):
    詩人・蘇軾が自らの文章を空行く雲や流れる水にたとえた手紙の言葉。物事に執着せず自然に任せること。
  • 三日坊主(みっかぼうず):
    出家しても修行の厳しさに耐えられず俗世へ戻った人々の姿から。飽きっぽく長続きしないこと。

全国民を「檀家」にした江戸幕府の寺請制度てらうけせいど

江戸幕府は、キリスト教を禁じるため、すべての家に近隣の寺院への登録を義務づける「寺請制度てらうけせいど」を敷きました。
これにより、信仰の篤さにかかわらず全国民が檀家として僧侶と定期的に接し、法要や葬儀のたびに仏教語を耳にする暮らしを送ることになりました。

信仰の有無を問わず日本人全員が制度として仏教と関わり続けたことが、四苦八苦や有頂天のような教義用語を、宗教色を感じさせないほど日常語に溶け込ませた理由と考えられます。

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