慣用句

烏の濡れ羽色

(からすのぬればいろ)

水に濡れたカラスの羽のように、青みを帯びてつやのある美しい黒色。

短縮形:濡れ羽色
異形:烏の濡羽色

9文字の言葉か・が」から始まる言葉
烏の濡れ羽色 ことば
スポンサーリンク

意味

烏の濡れ羽色とは、カラスの羽根が水に濡れたときに見せる、青みがかった艶やかな黒色を指す言葉です。
主に、女性の豊かで艶やかな黒髪を褒める言葉として使われます。

  • (からす):全身が黒い羽毛で覆われた鳥。
  • 濡れ羽(ぬればね):水に濡れてつやを増した羽。
  • (いろ):色合い、色調のこと。

語源・由来

カラスの羽は、乾いている状態では単なる黒に見えますが、雨などで水に濡れると、羽の表面で光が反射・干渉し合い、青や緑、紫といった複数の色がにじむように輝いて見えます。
この、ただ黒いだけではない奥行きのある美しい黒色に、女性の豊かでつややかな黒髪の美しさを重ねた表現であるという説があります。
「濡れ羽色」は日本の伝統色の一つとしても知られ、古くから髪の美しさをたたえる言葉として文学や和歌の中で使われてきました。

使い方・例文

つややかで美しい黒髪を褒める、詩的で上品な表現として使われます。日常会話よりも、文章表現や歌詞などで見かけることが多い言葉です。

  • 彼女の烏の濡れ羽色の髪が、風になびいていた。
  • 舞台女優の烏の濡れ羽色の黒髪に、観客はみとれた。
  • 祖母は今も、烏の濡れ羽色と言われるほど美しい黒髪を保っている。

類義語・関連語

  • ぬばたまの黒髪(ぬばたまのくろかみ):
    万葉集などに見られる、黒くつややかな髪を表す古い言葉。

英語表現

raven-black hair

「カラスのように黒い髪」という意味の表現で、「raven」はワタリガラスを指し、その黒く艶やかな羽の色を、美しい黒髪にたとえる表現です。日本語の「烏の濡れ羽色」と発想がよく似ています。

She had long, raven-black hair that shone in the sunlight.
(彼女は太陽の光に輝く、烏の濡れ羽色の長い髪をしていた。)

jet-black hair

「漆黒の髪」という意味の表現で、「jet」は黒色の宝石「黒玉(こくぎょく)」のことで、深みのある艶やかな黒を表します。

His jet-black hair made him stand out in the crowd.
(彼の烏の濡れ羽色のような黒髪は、人混みの中でも目立っていた。)

近代の文学作品に見る「濡羽色」の実例

「烏の濡れ羽色」は、雨などに濡れたカラスの羽が、光の加減で青や紫を帯びながらいっそう黒く艶やかに見える様子を、美しい黒髪にたとえた表現です。

近代文学における使用例としては、森鷗外が翻訳した『即興詩人』(1901年)に「鴉青いろの髪」という表現が見られるほか、吉屋信子の『花物語』(1919年)にも「濡羽色の髪」という描写があり、明治・大正期の文学や美人画を通じて広まった色名であることがわかります。

スポンサーリンク

コメント