意味
「万全を期す(ばんぜんをきす)」とは、抜かりや失敗が一切生じないよう、できる限りの備えを整えておくという意味です。
慎重かつ徹底した姿勢を強調するときに使われます。
- 万全(ばんぜん):少しも欠けたところがなく完全なこと。
- 期す(きす):そうなることを目指し心に決める。
語源・由来
「万全」は、中国の古典『韓非子』に「事必ず万全」という形で出てくる漢語で、少しの手落ちもないことを表します。
「期す」は「そうなることを心に決めて目指す」という意味で、二つを合わせて、手落ちのない状態を目指して備えを尽くすことを言います。
使い方・例文
「万全を期す」は、失敗を防ぐための周到な準備を述べる場面で使われます。
- 本番に向けて、万全を期してリハーサルを重ねた。
- 安全管理には万全を期す方針を徹底している。
- 契約書の確認は万全を期して行うべきだ。
類義語・関連語
- 念には念を入れる(ねんにはねんをいれる):
十分に注意したうえに、さらに用心を重ねること。
英語表現
leave no stone unturned
あらゆる手段を尽くし、抜かりなく取り組むことを表す慣用句。
The investigators promised to leave no stone unturned in solving the case.
(捜査官たちは、事件解決のため万全を期すと約束した。)
平賀源内の浄瑠璃、家臣が「万全の謀」と諫める
「万全」は、江戸時代の浄瑠璃にも出てきます。
平賀源内が書いた『神霊矢口渡』(1770年初演)は、南北朝時代の武将・新田義興の最期と、その後の弟や家臣たちの苦心を、『太平記』をもとに脚色した作品です。
作中で、勝ちに乗って敵を追おうとする義興を家臣が引き止め、いったん故郷へ帰って力を蓄え、時機を見て「討て出るが万全の謀」(= 時機を見て討って出るのが確かな策)と諫めます。
義興は聞き入れずに家臣を扇で打って出陣し、このあと矢口の渡しで討たれます。
ここでの「万全」は、急がずに時機を待つ手堅い策のことで、手落ちのないよう備えを尽くす今の「万全を期す」と同じ意味で使われています。










コメント