薬石効なし

「薬石効なし」の文字タイポグラフィのみのサムネ(仮サムネ2) 個別解説
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どれほど手を尽くしても、病はもう受け入れるしかない時があります。
あらゆる薬や治療を試みても効き目がなかったことを表すのが、「薬石効なし」(やくせきこうなし)です。

意味

「薬石効なし」とは、あらゆる薬や治療を尽くしたが、効果がなかったという意味です。
多くの場合、病人が亡くなったことを婉曲に伝える際に用いられる言葉です。

  • (やく):薬草、薬。
  • (せき):鍼治療に使う石製の針。
  • (こう):効き目、効果。

語源・由来

「薬」は文字通り薬草や薬剤を指し、「石」は古代中国で用いられた鍼治療用の石製の針を指します。
この二つを合わせた「薬石」は、当時のあらゆる医療手段を意味する言葉でした。
出典は唐の宣宗が皇太子の即位を命じた際の文書「皇太子に位に即くを命ずるの冊文」とされており、そこから「あらゆる治療の効果がなかった」という意味で使われるようになったといわれています。
現代の日本では、身内が亡くなったことを知らせる訃報や死亡通知の中で、遺族が用いる格式ばった表現として定着しています。

使い方・例文

「薬石効なく」の形で、訃報や死亡通知の中で使われることがほとんどです。病人本人やその家族が使う言葉であり、第三者が使うのは失礼にあたるとされています。

  • 闘病生活を続けておりましたが、薬石効なく、昨夜永眠いたしました。
  • 長年の治療もむなしく、薬石効なしという結果になってしまった。
  • 訃報には「薬石効なく」という言葉が添えられていた。

類義語・関連語

  • 万策尽きる(ばんさくつきる):
    あらゆる手段を試みたが、それ以上打つ手がなくなること。
  • 力及ばず(ちからおよばず):
    努力したが、目的を果たせなかったこと。

なぜ「石」で治療するのか

「薬石」の「石」は、現代の鍼治療の原型となった、石を研磨して作った医療用の針「砭石(へんせき)」を指しています。
古代中国では、金属器が普及する以前から、鋭くとがらせた石を体に当てて血行を促す治療が行われていたことが分かっています。
「薬石効なし」という言葉が、薬という内科的な手段と、石という外科的な手段の両方を並べているのは、当時すでに東洋医学が内と外、二つのアプローチを持っていたことの表れといえるでしょう。

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