意味
「蚊の鳴くような声」とは、弱々しくかすかで、ほとんど耳に届かないくらい小さな声という意味です。
自信がない時や、緊張している時、怯えている時などに発せられる、頼りない声を描写する言葉です。
単に声量が小さいというだけでなく、話し手の弱気な心情までも表す表現として使われます。
- 蚊(か):羽音の小さい、身近な吸血性の昆虫
- 鳴く(なく):虫や動物が声を発すること
語源・由来
「蚊の鳴くような声」は、蚊が発する羽音のかすかさに由来する表現です。
蚊は羽を高速で動かして飛びますが、その音は非常に小さく、静かな環境でなければ聞き取れないほどです。
この、耳を澄まさなければ気づけないほどかすかな音を、人が発する頼りない小さな声にたとえたことから、この表現が生まれました。
古くから日本語で親しまれてきた慣用句で、現代でも会話の中でよく使われています。
使い方・例文
「蚊の鳴くような声」は、自信のなさや緊張が表れた小さな声を描写する場面で使われます。
- 叱られた新入社員は、蚊の鳴くような声で謝った。
- 面接で緊張し、蚊の鳴くような声しか出せなかった。
- 体調が悪いのか、彼は蚊の鳴くような声で返事をした。
類義語・関連語
「蚊の鳴くような声」と同じく、弱々しい声や態度を表す言葉には、以下のようなものがあります。
- 消え入るような声(きえいるようなこえ):
今にも聞こえなくなりそうな、弱々しい声のこと。 - か細い声(かぼそいこえ):
頼りなく、途切れそうなほど弱い声のこと。
英語表現
a small voice
自信のなさや遠慮がにじむ、小さく弱々しい声を表す表現。
She answered in a small voice, afraid of being wrong.
(彼女は間違いを恐れ、蚊の鳴くような声で答えた。)
鎌倉時代の説話集にも見える、羽音を声に見立てた表現
蚊の鳴くような声は、蚊が本当に鳴くわけではなく、耳元でかすかに聞こえる蚊の羽音を「声」に見立てた表現です。
この言い回しは古く、鎌倉時代の説話集『十訓抄』(1252年)に「高き木の上に、蚊の鳴くやふにて、人のうめく声聞えけるを」という用例がすでに見られ、770年以上前から、かすかで頼りない声のたとえとして使われてきました。
羽音という実際の音そのものではなく、それを人の声に見立てて言い表した点が、この表現の特徴です。









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