意味
嵐の前の静けさとは、大きな騒動や事件が起こる直前に訪れる、束の間の静寂や平穏を指す言葉です。
激しい嵐が来る前には風がやみ不気味に静まり返ることがあるという自然現象から、大きな出来事が起こる前触れとして感じる違和感や緊張感を表す言葉です。
- 嵐(あらし):激しい風雨を伴う天候。転じて大きな変動や騒動。
- 静けさ(しずけさ):物音がなく穏やかな状態。
語源・由来
「嵐の前の静けさ」は、台風や暴風雨が接近する直前に、気圧配置の関係で一時的に風が弱まり空気が静まる気象現象を土台にした言葉です。
激しい変化が訪れる前に感じる、この場違いなほどの穏やかさが、人間社会における大事件の予兆にたとえられるようになりました。
英語の慣用句「the calm before the storm」も同じ発想を持ち、洋の東西を問わず自然に観察されてきた現象であることがうかがえます。
使い方・例文
「嵐の前の静けさ」は、大きな出来事が起こる前の不自然なほどの平穏を表す際に使われます。
- 試合前の静まり返った控室は、嵐の前の静けさだった。
- この平穏も嵐の前の静けさかもしれない。
- 発表前の会議室は、嵐の前の静けさに包まれていた。
類義語・関連語
「嵐の前の静けさ」と同様に、大事の前触れを表す言葉には以下のようなものがあります。
- 山雨来たらんと欲して風楼に満つ(さんうきたらんとほっしてかぜろうにみつ):大事件の前に現れる不穏な気配。
- 風雲急を告げる(ふううんきゅうをつげる):情勢が急激に変化し緊迫すること。
英語表現
the calm before the storm
日本語の「嵐の前の静けさ」とほぼ同じ発想を持つ、英語圏で広く使われる表現。
It’s the calm before the storm around here.
(このあたりは嵐の前の静けさだ。)
気象現象ではなく、明治期に輸入された西洋由来の表現
「嵐の前の静けさ」は日本古来の言い回しではなく、明治時代に西洋から入ってきた表現と考えられている。
もとになった英語のcalm before the storm(the calm before the tempest)は、大きな出来事の前に訪れる不気味な静けさを表す言い回しとして、日本語に翻訳される形で定着した。
英語表現の記録は古く、1608年に上演された戯曲『The Dumbe Knight』には、すでにthere is a calm before the tempestという一文が見られる。
当初は文字どおり嵐の前の海や空の静けさを指していたが、やがて争いや混乱が起こる前の不穏な静けさ全般を指す比喩として使われるようになった。
日本語の「嵐の前の静けさ」も、この英語表現の輸入を経て、気象現象そのものというより、大きな変化やもめごとの前触れとしての静けさを表す言葉として定着した。










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