意味
「千古不易」は、「千古」と「不易」という、どちらも時の長さに関わる語を重ねた四字熟語です。
物の丈夫さをいうのではなく、教えや道理が時代を越えて動かないという性質を表します。
「千古不易の理想」「千古不易の人情」のように、形のないものに添えて使われます。
- 千古(せんこ):永遠。限りなく長い年月。
- 不易(ふえき):いつまでも変わらないこと。
語源・由来
「千古不易」は、特定の故事から生まれた言葉ではなく、意味の近い二つの語を重ねて強めた組み立てです。
「千古」は大昔を指すほかに、永遠・永久という意味でも使われます。
「不易」はいつまでも変わらないことで、俳諧では新古を超えて変わらない本質を指す語としても使われました。
日本語の文章では、森鷗外の『青年』(1910〜11年)に出てきます。
「俳諧の用語で言へば、一時流行でなくて千古不易の方に属する作を」と、流行と対になる語として使われています。
永井荷風の『腕くらべ』(1916〜17年)にも、男と女のいきさつだけは「千古不易の人情」だという一節が出てきます。
使い方・例文
「千古不易」は、時代が移っても揺るがない教えや道理を評する場面で使われます。
- 恩師の言葉は、今も千古不易の指針として胸にある。
- 流行を追うより、千古不易の型を身につけたい。
- 人が人を思う気持ちだけは千古不易だと感じる。
類義語・関連語
「千古不易」と同じように、いつまでも変わらないことを表す言葉には以下のようなものがあります。
- 千古不磨(せんこふま):
すり減ることなく、いつまでも残り続けること。 - 万古不易(ばんこふえき):
いつまでもかわらないこと。 - 万代不易(ばんだいふえき):
永久に変わらないこと。 - 悠久(ゆうきゅう):
果てしなく長く続くこと。
「千古不易」と「万古不易」の違い
どちらも永遠に変わらないことを表し、意味はほとんど同じです。
分かれるのは頭に置く語と、日本語の文章に現れた時期です。
| 語句 | 頭に置く語 | 日本語の古い例 |
|---|---|---|
| 千古不易 (せんこふえき) | 千古 | 森鷗外『青年』(1910〜11年) |
| 万古不易 (ばんこふえき) | 万古 | 『翁問答』(1650年) |
対義語
「千古不易」とは反対に、すべてが移り変わって定まらないことを表す言葉があります。
英語表現
immutable
時間がたっても中身が一切変わらないことを表す、かたい言い方。
He believed in the immutable laws of nature.
(彼は変わることのない自然の法則を信じていました。)
timeless
流行に左右されず、いつの時代にも通じることを表す表現。
Her advice was simple but timeless.
(彼女の助言は簡素でしたが、いつの時代にも通じるものでした。)
俳諧の「不易」と「流行」
「不易」は、松尾芭蕉の一門が唱えた「不易流行」という考え方でも使われます。
これは、新しみを求めて変化していく流行性こそが俳諧の不易の本質であり、不易と流行は根元で結びつくとする理念です。
芭蕉自身がこの語を説いた例は見あたらないとされ、去来・土芳・許六といった門人たちの俳論の中で展開されました。
『去来抄』(1702〜04年)には「不易流行の事は万事に渡る也」という一節があります。









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