四字熟語

不可抗力

(ふかこうりょく)

人の力ではどうにも抵抗できない力や事態。法律では、注意を尽くしても損害を防げない外部の事実。


7文字の言葉ふ・ぶ・ぷ」から始まる言葉
不可抗力 ことば
スポンサーリンク

意味

「不可抗力」とは、備えや努力を尽くしても、人にはどうにもできなかった出来事を指す言葉です。
日常では、地震や大雪のように、人の努力ではどうしようもなかったという説明や弁明として使われます。
法律ではもっと狭く、責任を負うかどうかを分ける線引きの言葉として使われ、日常語とは別の顔を持ちます。

  • 不可(ふか):することができないこと。
  • (こう):さからう。はむかう。

語源・由来

「不可抗力」は、さからうことができないという意味の漢語に「力」を添えて組み立てた言葉です。
この言葉が表す考え方は、古代ローマの法にあった vis major、直訳すれば「より大きな力」という言い方までさかのぼります。
ローマの法では、船主や旅館の主人が客から預かった品物について、落ち度がなくても全ての責任を負うとされていました。
その重い責任も、vis major があった場合だけは免れると考えられるようになり、この考え方が各国の法に受け継がれました。
日本語の文章では、森鷗外の『大塩平八郎』(1914年)にこの言葉が登場します。

使い方・例文

「不可抗力」は、防ぎようがなかったと説明したり、責めを負う筋合いがないことを示したりする場面で使われます。

  • 大雪による到着の遅れは不可抗力だと言うほかない。
  • 不可抗力とはいえ、迷惑をかけた点はきちんと謝りたい。
  • 契約書には不可抗力の場合の取り決めが書き込んである。

小説に出てくる「不可抗力」

『忠直卿行状記』(菊池寛)
逆らいようのない命令に、黙って従うほかなかった様子を書いた場面に、この言葉が出てきます。

ただ不可抗力の命令のように、なんの反抗を示さずに忍従した

法律での「不可抗力」

法律では、「不可抗力」は責任を負うかどうかを分ける言葉として使われ、条文によって働き方が逆になります。
民法419条3項は、金銭の支払いが遅れたときの損害賠償について「債務者は、不可抗力をもって抗弁とすることができない」と定めています。
お金の支払いに関しては、天災を持ち出しても責任は消えないという決まりです。
一方、商法596条は、旅館や飲食店などが客から預かった品物をなくしたり傷つけたりしたとき、「不可抗力によるものであったことを証明しなければ、損害賠償の責任を免れることができない」と定めています。
こちらは、不可抗力だったと証明できれば責任を免れる仕組みになっています。

類義語・関連語

「不可抗力」と同じように、人の力の及ばない出来事をめぐる言葉には以下のようなものがあります。

  • 天変地異(てんぺんちい):
    地震や洪水、暴風など、自然界に起こる異変や大規模な災害。
  • 万事休す(ばんじきゅうす):
    手の打ちようがなくなり、もはやどうにもならないこと。
  • 運を天に任せる(うんをてんにまかせる):
    成り行きを人の力の及ばないものにゆだねること。

「不可抗力」と「天変地異」の違い

二語とも大きな災害の話に出てくるため、重ねて使われることがあります。
違いは、出来事そのものを指すのか、その出来事をどう受け止めるかを指すのかにあります。

語句指すもの使いどころ
不可抗力
(ふかこうりょく)
防げなかったという評価責任や弁明の話
天変地異
(てんぺんちい)
起きた出来事そのもの災害の描写

英語表現

force majeure

フランス語から英語に入り、契約書で不可抗力の条項を指すのに使われる言い方。

The delay was covered by the force majeure clause.
(その遅れは不可抗力の条項で扱われました。)

act of God

地震や洪水など、人の手では防げない自然の出来事を指す表現。

The insurer refused to pay, calling the flood an act of God.
(保険会社は洪水を不可抗力として支払いを断りました。)

スポンサーリンク

コメント