意味
「ほとぼりが冷める」の「ほとぼり」は、火を落としたあとにも残っている熱を指す言葉です。
そこから転じて、事件などがおさまったのちしばらく残っている世間の関心も指します。
騒ぎを起こした側が、世間の目が薄れるのを待つ場面でよく使われます。
- ほとぼり:さめきらずに残っている熱。
- 冷める(さめる):熱や勢いが弱まること。
語源・由来
「ほとぼり」は、もともと「ほとほり」という形の言葉でした。
これは「ほとほる」という動詞から生まれた名詞で、「ほ(火)」と「とほる(通)」が合わさった語と考えられています。
中世には「ホトヲル」「ホトヲリ」と読まれていたことが、『色葉字類抄』や『日葡辞書』から分かります。
中世の末になると、灯がつくという意味の「とぼる(点)」が使われるようになります。
これに引かれて「ほとほる」が「ほ(火)」と「とぼる(点)」の組み合わせと受け取られ、濁った形の「ほとぼり」が現れたとみられます。
漢字では「熱り」「熱」「余熱」と書かれます。
使い方・例文
「ほとぼりが冷める」は、騒ぎが静まって世間の関心が薄れるのを待つ場面で使われます。
- ほとぼりが冷めるまで、しばらく田舎に引っ込んでいる。
- 騒ぎのほとぼりが冷めたころに、また同じ話が出てきた。
- ほとぼりが冷めないうちに現場へ顔を出すのはまずい。
類義語・関連語
「ほとぼりが冷める」と同じように、時が過ぎて騒ぎや記憶が薄れることをめぐる言葉には以下のようなものがあります。
- 人の噂も七十五日(ひとのうわさもしちじゅうごにち):
世間の噂は長続きせず、やがて忘れられるということ。 - 喉元過ぎれば熱さを忘れる(のどもとすぎればあつさをわすれる):
苦しかったことも、過ぎてしまえばけろりと忘れること。 - 水に流す(みずにながす):
過去のいざこざを、なかったことにすること。
「ほとぼりが冷める」と「人の噂も七十五日」の違い
どちらも世間の関心が時とともに薄れることを表すため、同じ場面で並べて使われます。
「ほとぼりが冷める」は騒ぎの当事者が身を潜めて待つ側の言い方、「人の噂も七十五日」は噂が長続きしないという世間の側から見た教えです。
| 語句 | 立っている位置 | 言い表すもの |
|---|---|---|
| ほとぼりが冷める (ほとぼりがさめる) | 騒ぎの当事者 | 関心が薄れていく状態 |
| 人の噂も七十五日 (ひとのうわさもしちじゅうごにち) | 世間の側 | 噂は長続きしないという教え |
英語表現
blow over
言い争いや騒ぎがしだいに小さくなり、忘れられて終わることを表す言い方。
I thought that after a few days the argument would blow over.
(数日たてば言い争いはおさまるだろうと思っていました。)
the dust settles
もめごとや大きな変化のあとで、あたりが落ち着くことを表す表現。
We thought we would let the dust settle before discussing the other matter.
(別の件を話し合う前に、ひとまず落ち着くのを待とうと考えました。)
「ほとぼり」はもともと残り火の熱
「ほとぼり」は、火が消えたあとに残る熱を表す言葉で、「ほとぼる(熱る)」という動詞から生まれた名詞にあたります。
実際に冷めるまで時間のかかる残り火の性質になぞらえて、事件や噂のあとに残る世間の関心がなかなか収まらない状態を「ほとぼりが冷めない」と表すようになりました。
同じ「ほとぼり」を使った「ほとぼりをぬく」という言い方も、その関心を避けてやり過ごすという意味で使われます。









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