故事成語 ことわざ

兎死すれば狐これを悲しむ

(うさぎしすればきつねこれをかなしむ)

同類の不幸を、その縁者が悲しむことのたとえ。


17文字の言葉 / 「う」から始まる言葉
兎死すれば狐これを悲しむ ことば
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意味

「兎死すれば狐これを悲しむ(うさぎしすればきつねこれをかなしむ)」は、悲しむ理由まで言い添えたことわざです。
仲間の死を悼む気持ちと、我が身への不安とが重なる心情を表します。
同類が死ねば、自分にも同じ運命が近づいているとみなす考え方によるものです。

語源・由来

「兎死すれば狐これを悲しむ」と同じ語順の句は、明の時代の中国で書かれた田芸蘅でんげいこうの『玉笑零音』に見えます。
その本には「黿げん鳴きて鱉べつ応じ、兎死すれば狐悲しむ」とあり、大きなすっぽんが鳴けばすっぽんが声を合わせるように、似た者どうしは互いの身の上に応じ合うと並べています。
日本では、近松門左衛門の浄瑠璃『曾我会稽山そがかいけいざん』(1718年)の四段目に「兎しすれば狐是を悲しむとは、同じ類に禍の来らんことをいたむゆへ」と出てきます。

使い方・例文

「兎死すれば狐これを悲しむ」は、同じ立場にある者の不幸に接して、我が身を重ねる場面で使われます。

  • 同業の店がまた一軒たたんだ。兎死すれば狐これを悲しむだ。
  • 先輩の解雇を聞き、兎死すれば狐これを悲しむの心境になった。
  • 隣の課の統合に、兎死すれば狐これを悲しむと皆が黙り込んだ。
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類義語・関連語

「兎死すれば狐これを悲しむ」と同じように、同じ立場の者の不幸に心を寄せることを表す言葉には以下のようなものがあります。

  • 狐死して兎泣く(きつねしにてうさぎなく):
    同類の死を、残された者が嘆くこと。
  • 同病相憐れむ(どうびょうあいあわれむ):
    同じ苦しみを抱える者どうしが、互いを思いやること。
  • 明日は我が身(あすはわがみ):
    他人に起きた災いが、いつ自分に及んでもおかしくないこと。

「兎死すれば狐これを悲しむ」と「同病相憐れむ」の違い

どちらも同じ立場の者どうしが心を寄せ合う様子を表しますが、寄せ合う時点が違います。
「兎死すれば狐これを悲しむ」は一方が失われたあとの嘆きをいい、「同病相憐れむ」は双方が苦しみのただ中にいるときの思いやりをいいます。

語句いつのことか相手の状態
兎死すれば狐これを悲しむ
(うさぎしすればきつねこれをかなしむ)
失われたあとすでにいない
同病相憐れむ
(どうびょうあいあわれむ)
苦しみのただ中ともに苦しんでいる

「兎死すれば狐これを悲しむ」の古い形と日本での用例

この言葉の最も古い形は、唐から五代のころに敦煌で語られた物語「燕子賦」に見える「狐死兔悲」で、罰を受けた雀をかばって、その兄弟が同類のよしみで燕に罵りをやめるよう求める場面に出てきます。
『宋史』ではこれが「狐死兔泣」という形で使われ、のちに現在の中国語と同じ「兔死狐悲」という語順が広まりました。
日本での早い用例は、冒頭に挙げた『曾我会稽山』の一文です。

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