故事成語

同病相憐れむ

(どうびょうあいあわれむ)

同じ悩みや苦しみを持つ者同士は、互いに気持ちが分かり同情し合うこと。


11文字の言葉と・ど」から始まる言葉
同病相憐れむ ことば
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意味

単なる同情ではなく、同じ痛みを経験したからこそ生まれる、対等な立場での深い共感や連帯感を表す言葉です。

  • 同病(どうびょう):同じ病、同じ苦しみ。
  • 相憐れむ(あいあわれむ):互いに気の毒に思うこと。

語源・由来

「同病相憐れむ」は、中国の歴史書『呉越春秋』の「闔閭内伝」に由来する言葉です。

紀元前六世紀の春秋時代、楚の国で家臣であった伍子胥は、王の迫害を受けて隣国の呉へ亡命しました。
その後、同じく楚から追われ親族を殺された伯嚭が呉に仕官を願い出た際、伍子胥は自分と同じ境遇にあるこの人物を、呉王闔閭に人材として推薦したとされます。
この逸話に添えられた「同病相憐れみ、同憂相救う」という言葉が、そのまま四字の言い回しとして今に伝わっています。

使い方・例文

「同病相憐れむ」は、似た苦労や境遇を持つ者同士が慰め合う場面で使われます。

  • 同じ大学受験に苦しむ友人と、同病相憐れむ気持ちで励まし合った。
  • リストラを経験した二人は、同病相憐れむ仲になった。
  • 育児の悩みを語り合う母親同士は、まさに同病相憐れむ関係だ。

類義語・関連語

「同病相憐れむ」と同じく、似た境遇の者同士が寄り添う様子を表す言葉には以下のようなものがあります。

  • 呉越同舟(ごえつどうしゅう):
    仲の悪い者同士でも、同じ苦境では協力し合うこと。
  • 傷を舐め合う(きずをなめあう):
    似た失敗をした者同士が、互いを慰め合うこと。

「同病相憐れむ」と「傷を舐め合う」の違い

両者とも似た苦しみを持つ者同士の関係を表しますが、含むニュアンスが異なります。
「同病相憐れむ」は自然な共感や連帯を肯定的に描くのに対し、「傷を舐め合う」は互いに慰め合うだけで根本的な解決に向かわない様子を、やや否定的に表す際に使われます。

語句ニュアンス
同病相憐れむ
(どうびょうあいあわれむ)
自然な共感・連帯(中立〜肯定)
傷を舐め合う
(きずをなめあう)
慰め合うだけで進展がない(否定的)

英語表現

Misery loves company

「不幸は仲間を好む」という意味の定番の英語のことわざで、同じ苦しみを持つ者同士が寄り添う様子を表す点で近い表現。

We both failed the exam — misery loves company, I guess.
(二人とも試験に落ちた。同病相憐れむというやつだね。)

春秋時代の亡命者たちが結んだ絆

「同病相憐れむ」の由来となった伍子胥と伯嚭の物語は、単なる同情の逸話ではありません。
二人はともに祖国・楚で親族を殺されるという同じ悲劇を経験した亡命者同士であり、その共通体験が、呉という異国での信頼関係の土台になったとされています。

戦国の世を生き抜くための人材登用という、極めて実利的な文脈で語られたこの逸話が、後世には「同じ苦しみを知る者だけが分かり合える」という、より普遍的な人間関係のあり方を表す言葉として広まっていきました。
故事の舞台となった呉越の争いは、後に「呉越同舟」という別の四字熟語も生み出しています。

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