意味
「万理一空」とは、心と体を鍛え抜いて、迷いのない澄んだ心境に至っている状態という意味です。色紙や座右の銘に選ばれることの多い四字熟語で、一つの目標を見すえて努力を続ける心構えを表す言葉としても引かれます。
- 一空(いっくう):そら全体。空一面。
語源・由来
「万理一空」は、江戸時代の初めに剣術家の宮本武蔵が書いた兵法書『五輪書』から出た言葉です。
『五輪書』は、武蔵が亡くなる直前の1643年から1645年にかけて、肥後(今の熊本県)の岩戸山にこもって書き上げたと伝えられています。
仏教でいう地・水・火・風・空の五つになぞらえて五巻に分けられ、最後の「空の巻」で兵法の奥義が語られます。
使い方・例文
「万理一空」は、一つの目標に向かって迷わず努力を重ねる姿勢を語る場面で使われます。
- 入門した日に色紙へ万理一空と書き、道場の壁に貼った。
- 監督は万理一空を掲げ、三年がかりで全国大会に届いた。
- 迷いが出たときは万理一空という言葉を思い出している。
類義語・関連語
「万理一空」と同じように、心を一つに定めて揺らがない様子を表す言葉には以下のようなものがあります。
- 明鏡止水(めいきょうしすい):
曇りのない鏡と波立たない水面のような、澄みきった心。 - 一意専心(いちいせんしん):
脇目もふらず、一つのことに心を集中すること。 - 初志貫徹(しょしかんてつ):
最初に決めた志を最後まで貫き通すこと。 - 不撓不屈(ふとうふくつ):
どんな困難にもくじけず、あきらめない強い意志。
「万理一空」と「明鏡止水」の違い
どちらも迷いのない心を表しますが、その心にたどりつく道すじの語られ方が違います。
「万理一空」は修養と鍛錬を積み重ねた先の境地を指し、「明鏡止水」は邪念が消えて静まった心そのものを指します。
| 語句 | 言い表す中身 | 使う場面 |
|---|---|---|
| 万理一空 (ばんりいっくう) | 鍛錬の末に達した境地 | 目標を掲げるとき |
| 明鏡止水 (めいきょうしすい) | 静まりかえった心の状態 | 今の心境を語るとき |
「万理」と「万里」の書き分け
この言葉は「万理一空」と書き、「理」は物事に備わった筋道を表す字です。
いっぽう実際の文章では、距離を表す「里」を使った「万里一空」の形も広く使われています。
「万里」は非常に遠い距離を表す語で、「万里の長城」のように隔たりの大きさを表すときに使われます。









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